健大高崎高校OBは機動力を武器としない?
高校時代の山下航汰 ※写真=共同通信社
11月15日に開幕する明治神宮大会。高校の部は11月5日時点で東京地区をのぞき、全地区の出場校が決定している。
そのなかで激戦の関東地区を制したのは健大高崎高校(群馬県)だった。同校にとって初の秋季関東大会制覇であり、群馬県勢としても1979年の東農大二高以来40年ぶりの快挙となっている。
そんな同校に来年のドラフトでも注目されそうな逸材がいる。関東大会決勝で山梨学院高校(山梨県)相手に完封勝利をマークした身長191センチの橋本拳汰(2年)である。現時点で150キロに迫るストレートを投げるわけではないが、角度のある球は威力十分。この冬の過ごし方によっては大化けする可能性も秘めていそうな存在であることは間違いない。
さて、同校は「機動破壊」のキャッチフレーズで知られているとおり、機動力に自信のある選手が多い。しかし、NPB入りを果たしているOBたちは必ずしもそうではない。
2018年ドラフトで巨人から育成1位で指名された山下航汰。1年目から支配下登録され、一軍デビューもはたした外野手だ。山下は高校時代からスラッガーとしてならし高校通算75本塁打を記録している。2年時に出場した選抜高校野球大会では、2本の満塁本塁打を放ちその名を全国に轟かせた。まさに、機動力とは真逆の存在だったのである。
その他では長坂拳弥(阪神)や三ツ間卓也(中日)も同校出身であるが、機動力を重要視しないバッテリーということもあるが、決して足が売りの選手ではない。
2019年のドラフトで西武から5位指名を受けた、Honda鈴鹿の柘植世那も同校出身だ。この柘植も高校時代から強肩強打の捕手として注目されており、決して機動力が売りの「走れる捕手」ではなかった。
足が売りとなっている現役OB選手(NPB)は湯浅大(巨人)くらいのものだろう。湯浅は高校時代からリードオフマンとしてチームを引っ張り、多くの盗塁を決めていた。
このように「機動破壊」のイメージが強い健大高崎高校だが、プロ入りを果たしている選手の多くはその他の売りを持っている。来秋のドラフトで注目となりそうな橋本もそのひとりとなるが、はたして指名を勝ち取ることができるのだろうか。少しでも評価を上げるために、明治神宮大会での口頭に期待したい。
文=勝田聡