希望の星となるか?ヤクルト田川賢吾にかかる期待
8月23日に行われたヤクルト対阪神(神宮)の試合で、ヤクルトの田川賢吾がプロ初先発を飾った。
田川は2012年ドラフト3位で指名され、高知中央高校からヤクルトへと入団。現在のチームを支える石山泰稚や小川泰弘と同期にあたるプロ7年目の右腕だ。
田川は高知中央高校時代から全国区の存在だったかというと、そんなことはない。甲子園出場もなく、全国的には無名の存在だったと言っても過言ではないだろう。
高知県出身のプロ野球選手の母校といえば、明徳義塾高校、高知商業高校、高知高校と新旧の名門校がずらりと並ぶ。その他には「KKコンビ」を擁するPL学園高校を破った伊野商業が有名だ。
高知中央高校と聞いてもピンとこない人が多いだろう。それもそのはず、田川がドラフト指名された初のプロ野球選手なのだ。それ以降も日隈ジュリアス(現・育成)が2015年ドラフト4位で田川と同じヤクルトに指名されたのみ。
プロ野球選手は2018年のドラフトまでに2人しか輩出されていないのである。
初先発は4回途中でノックアウト
高知中央時代の田川賢吾
高知中央高校OBとして初のプロ野球選手となった田川の初先発は、ほろ苦いものとなった。初回に福留孝介に先制弾を浴びるなど、4回途中6失点でノックアウトされたのである。
この日の最速は144キロ。変化球はフォーク、スライダー、カーブとオーソドックスなものばかり。
150キロを超えるような、目を見張るストレートがあるわけではない。鋭い変化を見せる切れ味抜群の変化球を持っているわけでもない。それでも3回まではまずまずの投球内容だった。
どのような形になるのかはわからないが、次回の登板に期待したくなる内容だったことは間違いない。
そんな田川はドラフト1位で入団した金の卵候補でもなく、高卒6年目のシーズンまでに一軍で1試合しか登板していない選手である。それでも、ここまで球団が手放さずに大事に育ててきたのは、田川に「光るもの」を見出しているからに他ならない。
球団が大事にしてきた才能が開花するときを待っているファンは多い。140キロそこそこのストレート、そしてオーソドックスな変化球で相手打線を抑えることができれば、高校球児を含め多くの投手の希望となるはずだ。
※数字は2019年8月24日終了時点
文=勝田聡
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