履正社時代の山田哲人

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は準々決勝を迎え、日本はイタリアと対決する。

 山田 哲人内野手(ヤクルト=履正社出身)は驚異的な勝負強さがあり、これまでの国際大会でもチームの運命を変える本塁打を放ち、勝利に貢献した。

 高校時代は2010年、本命と見られていたPL学園相手に9回表、同点適時打を放ち、勝利に大きく貢献。もしあのまま負けていれば、履正社は安定して甲子園に出場できていなかったのかもしれない。

 そして山田自身の運命を切り開いたのは2010年夏の甲子園・聖光学院戦(福島)だったといえる。初戦の天理戦(奈良)では3打数2安打の活躍を見せた山田は、聖光学院戦では、1回戦で広陵(広島)を完封した歳内 宏明投手(元ヤクルトなど)相手に2ラン本塁打を含む2安打。この試合で敗れたが、2試合続けてマルチヒットを記録したことはスカウトたちにとって大きな印象を与えたはずだ。

 これほどの潜在能力を持った大型遊撃手であれば、甲子園出場がなくても、甲子園で打てなくても、指名はあったかも知れない。外れ外れ1位指名でもとりたいと思わせるほど評価は上がっていた。

 ちなみにドラフトでは、1位指名で、外れを何度も繰り返さないことが成功の鉄則と呼ばれる。しかし、2010年、ヤクルトは1位指名を2度外して、指名した山田が球界屈指のスラッガーへ成長しているのだから、改めて持っている選手としかいいようがない。