村上宗隆、戸郷翔征などU-18代表ではない選手がWBC代表入り!日本の裾野の広さを示した逆転現象
村上 宗隆、戸郷 翔征
今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表には、U-18代表経験がない選手が選ばれている。
2013年に侍ジャパンの常設化が決まってから10年。楽天・松井 裕樹投手(桐光学園出身)や、ロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡出身)などは、U‐18代表を経験し、今回WBC代表入りした。だが、当時のU-18代表がその世代の中心選手になっているかといえばそうではないところが面白いところである。
ヤクルト・高橋 奎二投手(龍谷大平安出身)がWBCに選出されたが、世代的には2015年のU-18代表。当時は超高校級左腕として評価が高く、1次候補にも選ばれていたが、惜しくも選外だった。NPBに入っても世代トップ級の活躍を見せる中日・小笠原 慎之介投手(東海大相模出身)より、先にWBC代表入りするのは驚きだった。これからも高橋、小笠原の2人が牽引していくかもしれない。
16年のU‐18世代ではオリックス・山本 由伸投手(都城高出身)が入った。同世代のU-18代表は西武・今井 達也投手(作新学院出身)など豪華な投手が揃っているが、山本の実績が群を抜いており、すでに日本球界の中心となっている。
17年世代では、ヤクルト・村上 宗隆内野手(九州学院出身)が選ばれた。この世代は当時、高校通算111本塁打を成し遂げた日本ハム・清宮 幸太郎内野手(早稲田実出身)を筆頭に甲子園を経験したスラッガーたちが世代トップの活躍を見せ「清宮世代」とも言われていたが、村上がプロ入り後、ごぼう抜き。昨年は56本塁打を放つなど、セ・リーグの三冠王に輝いた。今回のWBCでは本来の力を出せないでいるが、スランプでさえも話題になるほど村上は現在の野球界の中心となった。17年夏の甲子園でベンチ外だった阪神・湯浅 京己投手(聖光学院出身)もWBC代表入りし、好投を見せている。
18年世代では巨人・戸郷 翔征投手(聖心ウルスラ出身)が、当時のU-18代表選手よりも先にWBC代表入りした。戸郷は、U-18代表の壮行試合で登場した宮崎県選抜の代表選手に選ばれ、日本代表相手に好投。140キロ後半の速球はもちろん、切れ味鋭いスライダーの切れ味に、多くの代表選手たちが「先に壮行試合で大学代表と対戦したが、戸郷の変化球の精度は大学生と変わらない」と絶賛したことを覚えている。
今回、対象となった選手は当時から実力がなかったかといえば、そうではなく、世代トップクラスの実力はあった。湯浅は例外だが、高校卒業後にいくらでも「逆転」できる日本球界の裾野の広さを示した事例でもある。
この「逆転現象」はこれからも続いていくはずだ。