53号を放った村上、過去の偉大なアーチスト同様に打率にも注目
高校時代の村上宗隆
ヤクルト・村上宗隆内野手(九州学院出身)が本塁打を量産している。残り19試合の時点で53本塁打。野村克也(南海/1963年)と落合博満(ロッテ/1985年)を抜いて、NPB記録である60本まであと7本に迫った。
もちろんセ・リーグの本塁打ランキングでは独走状態。さらには打点と打率の両部門でもトップを走っており、球界では2004年の松中信彦(ソフトバンク)以来となる三冠王も射程内だ。
一般的に本塁打の多い長距離砲は打率が高くないイメージがある。パ・リーグの本塁打王争いでトップを走っている西武・山川穂高内野手(中部商出身)も、現在は打率.268(392打数105安打)で今シーズンの打率3割は絶望的。
現役最多の452本塁打を放っている西武・中村剛也内野手(大阪桐蔭出身)は打率3割を1度も達成していない。昨年まで4年連続30本塁打を記録した巨人・岡本和真内野手(智辯学園出身)も打率3割を超えたのは2018年の1度だけ。ここ3年は打率.280にも届いていない。
しかしNPBでシーズン本塁打数上位5人の打率を見ると、その本塁打を記録したシーズンにいずれも高打率を残していた。
シーズン最多本塁打記録の60本を放ったバレンティン(ヤクルト/2013年)は、同年に打率.330(439打数145安打)と高打率を残した。惜しくも首位打者を獲得することはできなかったが、3厘差でセ・リーグ2位の成績だった。
55本を記録した王貞治(巨人/1964年)、ローズ(近鉄/2001年)、カブレラ(西武/2002年)の3人も打率.320を超えており、王とカブレラは打率ランキングで僅差の2位でもあった。
54本を放ったバース(阪神/1985年)も打率.350(497打数174安打)のハイアベレージで首位打者を獲得。見事、三冠王に輝いている。
過去に村上以上の本塁打を記録した5人は、いずれも高打率を残していた。長距離砲でも突き抜けるだけの本塁打を放てば打率は上がっていくようだ。
はたして村上はどこまで本数を伸ばし、そして打率を上げることができるのだろうか。残り試合が楽しみだ。
<シーズン本塁打上位5人の打率>
【60本】
バレンティン(ヤクルト/2013年)
打率.330(439打数145安打)
【55本】
王貞治(巨人/1964年)
打率.320(472打数151安打)
ローズ(近鉄/2001年)
打率.327(550打数180安打)
カブレラ(西武/2002年)
打率.336(447打数150安打)
【54本】
バース(阪神/1985年)
打率.350(497打数174安打)
※2022年9月9日終了時点
(記事=勝田 聡)