榎本 葵選手 (九州国際大付)
寸評
今年の福岡の野手で、中谷将大(捕手・福岡工大城東、阪神ドラフト3位)と双璧をなす存在。大型スラッガーの中谷に対して、走攻守の3拍子揃ったアスリート系野手が榎本葵だ。 (初観戦とその翌日の驚き) 2008年05月04日、第36回北九州市長杯争奪高校野球大会準決勝@北九州市民球場にて初観戦。二年先輩の二保旭(投手・現福岡ソフトバンク育成)、一年先輩の河野元貴(捕手・現読売育成)らを擁する、翌年の選手権出場チームにて、いきなりの一年生4番。タレント軍団で鮮烈デビューを果たす。その日のうちに、中学時代の実績調査。横浜青葉緑東リトルシニアにて全国大会優勝・MVPと、なりもの入りで高校入学と判明した。その翌日の決勝では、4番・投手としてスタメン。既に県内でゆるぎない評価だった好左腕・福地元春(自由ケ丘-現九州共立大)と投げ合い、途中降板ながらも、チームの勝利に貢献した。豪腕タイプではなく、ひじの使い方がやわらかい、しなやかさに加え、投球術にて相手をかわした内容だった。 (打撃) 体に巻きつけるように最短距離で、内角球を振りぬく。一年の夏の選手権予選、豪腕スライダー投手・三嶋一輝(現法政大学)と中島卓也(遊撃手・現北海道日本ハム)を擁する優勝候補本命・福岡工との延長戦にて、劇的サヨナラ弾。当時、杖の支えが必要で、ベンチに座して指揮をしていた若生監督が、思わず、杖なしで立ち上がったという、治癒力抜群の一撃をはなった。2年の春の第22回NHK旗福岡県選抜高校野球大会では、川原弘之(投手・福大大濠-現福岡ソフトバンク)からの春日球場場外の大時計台を襲う140M弾や、夏の甲子園での決勝本塁打といい、ギャラリーを魅了し続ける一発が多いのも特徴。驚きから、ワクワクしながら観戦した選手だった。 (走塁・守備) ド派手な一発が多いので、打つほうばかりが注目されるが、打球カンのよい走りも守りも一流。とにかく、一歩目が早く、すぐにトップに入る。そして、長足にて躍動するからグランドが狭く感じられる選手。「東北の葵(あおい)稲妻」が、ピッタリのニックネームになるだろう。
更新日時:2010.11.09
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