Interview

北海道日本ハムファイターズ 谷元 圭介投手(稲生出身)「土壇場に強くなるために、いつでも平常心で」【後編】

2017.01.11

 前編ではアマチュア時代の取り組みなどを振り返っていきましたが、後編では、中継ぎとして大活躍するきっかけとなったメンタルコントロール法や、用具のこだわりについてもお聞きました。

プロでは小柄な右投手が手本とする存在に出会う

北海道日本ハムファイターズ 谷元 圭介投手(稲生出身)「土壇場に強くなるために、いつでも平常心で」【後編】 | 高校野球ドットコム

谷元 圭介投手(北海道日本ハムファイターズ)

 北海道日本ハムに入ると、そこには谷元投手が手本とする投手がいた。リリーフエースとして君臨していた武田 久投手(生光学園高-駒澤大日本通運)である。武田投手は谷元投手とほとんど変わらない身長(170㎝)ながら、2006年から2012年まで7年連続で50試合登板を果たし、通算で167セーブ、107ホールドを記録している(2016年終了時点)。

「右投手は上背がないと不利とされる中、武田 久さんはそういう投手でもプロで活躍できると示してくれました。小さな右投手に道を開いてくれた、と感謝していますし、尊敬もしています。ヒザの使い方とか、技術的な部分も参考になりました」

 昨シーズンの58試合登板で、3年連続50試合登板となった谷元投手は、今や背が小さい右投手にとって希望の光だ。167㎝の谷元投手が輝きを放つたびに、上背がない右投手は活路を見出すだろう。それは谷元投手も自覚している。
「自分がそういう立場になっている、と思っています。使命感もあります。上背がない右投手でもプロでやっていけると、僕が示していくつもりです」

 とはいえ、167㎝72㎏と、ユニフォームを脱ぐと一般人と変わらない体で、プロの厳しい世界で生きて行くのは容易いことではない。193㎝92㎏の大谷選手のような大きな投手と比べると、筋肉の大きさや出力は明らかに劣る。そこで谷元投手は「持っている筋肉をいかに最大限に使うか、そして、いかに効率良く力を伝えるか。この2つを毎日考えています」。そう、最速150㎞のキレのあるストレートは、この積み重ねの結晶なのだ。

[page_break:谷元投手の投球を支えるニューバランスのスパイク]

谷元投手の投球を支えるニューバランスのスパイク

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谷元 圭介投手(北海道日本ハムファイターズ)

 前述の2つのテーマを体現する上で、大いなる味方になっているのが、ニューバランスのスパイクだ。谷元投手はニューバランスのスパイクを3年前から使用している。「動きのスタート地点ですし、唯一地面をとらえているところなので」と、昔から「足元」には気を使っている谷元投手は、ニューバランスのスパイクの良さをこう説明する。

「一番は横ブレがほとんどないことです。投手はマウンドでも、フィールディングの時も横方向の動きが多いため、僕はシューズの横ブレにとても敏感だったのですが、ニューバランスにしてからは、シューズの中で足がよじれるのがかなり軽減され、気にならなくなりました」

 グリップ性にも信頼を置いている。
「ステップ幅が広く、重心が低い僕にとって、スパイクの歯がしっかり土をかんでくれるかどうかは、大きなポイント。踏み出した時に体がフワフワして、安定しないようではダメです。その点、ニューバランスのスパイクは、マウンドの土が硬めでもしっかりグリップしてくれます」

 ニューバランスが持つテクノロジーに惚れ込んでいる谷元投手は、ランニングやトレーニングの時もニューバランスのシューズを履いているそうだ。

 近年はカジュアルシーンで履く層に加え、市民ランナーの中にも愛用者が増えているニューバランス。実は谷元投手は、ニューバランスのスパイクを着用する以前から、ニューバランスのファンだった。

「ニューバランスはオシャレですからね。もともと大好きなブランドで、スニーカーも何足も持っています。いま被っているキャップもお気に入りです。大好きなニューバランスのスパイクでプレーできる喜びも、僕のパフォーマンスを支えてくれている気がします」
谷元投手の「足元」にも注目だ!

[page_break:マウンドで平常心を保つようになってから成績が向上]

マウンドで平常心を保つようになってから成績が向上

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谷元 圭介投手(北海道日本ハムファイターズ)

 北海道日本ハム・救援陣の柱である谷元投手は、しびれる場面で登板することが多い。
だが、そうした中でもいつも淡々と投げ、ピンチを抑えても何事もなかったようにマウンドからベンチに戻る。谷元投手は相手の絶好機でマウンドに上がっても「得点圏にランナーがいるとは思わないで、イニングの頭だと自分に言い聞かせ、目の前の打者に集中している」という。

 もっとも、どんな場面でも、自分がどんな状態でも、マウンドで平静を保てるようになったのは、プロに入ってからだそうだ。

「高校、大学、社会人と、僕は抑えたら吠えていました(笑)。プロでも5年目まではそんな感じだったでしょうか。転機となったのは、6年目(2014年)、開幕前の最後のオープン戦で登板した時です。僕はとても調子が悪く、それが顔に出まくっていたようで…試合後、厚澤 和幸投手コーチ(現ベンチコーチ)から『もしレギュラーシーズンで感情を顔に出したら、たとえ抑えたとしても即ファーム行きだ』と厳しく言われましてね。これはまずいと(苦笑)、この試合を境に、マウンドでは喜怒哀楽を表に出さないようにしたんです」

 するとこのシーズン、谷元投手は初の50試合登板を果たすとともに、5勝1敗1セーブ12ホールド、防御率1.59と、好成績を残す。マウンドでの姿がそのまま結果につながったのだ。谷元投手は「平常心でいることがこんなに大切だとは思いませんでした」と話す。

 来たる2017年のシーズン―。谷元投手はそこがどこであれ、与えられた場所で、その日のベストパフォーマンスを発揮するつもりだ。

(インタビュー・文/上原 伸一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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