23日、7月に行われる侍ジャパン大学日本代表が発表され、国学院大緒方 漣内野手(2年=横浜)が選出された。代表は3、4年生が大半をしめる中、2年生で唯一のメンバー入りとなった。

 甲子園を沸かせたスターが、大学球界で早くも逸材の仲間入りを果たした。合宿初日の紅白戦では第2試合で初打席初ヒットを放つと、持ち前の守備でも三遊間を抜けそうな当たりに飛び付き、三塁へと送球してアウトにとった。2日目の第2試合でも左中間を破る適時三塁打でアピール。「レベルの高い投手陣なので、自分の方が下と考えていた。コンパクトにバットを短く持つなど工夫した結果、いい形で捉えられている」と、3日間計7打席で4安打と結果を残し、代表の切符を手にした。

 早くも全国から集まるスター軍団と肩を並べたわけだが、緒方の名を聞くと、横浜時代の活躍が印象に残っている高校野球ファンも多いのではないか。名門で1年時から遊撃手のレギュラーを掴み、同校3年ぶりとなった21年夏の甲子園では、初戦の広島新庄戦で9回2死から逆転サヨナラ3ランを放つ鮮烈デビューを飾った。2年時にも連続出場を果たし、3年時は夏3連覇こそ逃したものの、高校日本代表に選出され、U-18W杯で打率.571をマーク。首位打者を獲得して大会MVPにも選出されるなど、高校時代から世代をけん引する活躍を見せてきた。

 国学院大に進学後も、1年時春のリーグ戦で初安打初本塁打も記録。しかし、秋のリーグ戦では無安打に終わり、「東都の投手陣と対戦して、去年一年は悔しい思いをしました」と、"戦国東都"でしのぎを削る大学生との差を痛感した。

 秋の悔しさを晴らすべく、この冬は国学院大の鳥山 泰孝監督と打撃力強化を図った。

「春に向けて監督さんとインパクトの音を大事にしながら練習してきました。思い切り振っても芯から外されると、打球は飛ばないですし、あくまで投手に対してのコンタクトというところで、芯に当てるという意味でも乾いた音を常に意識して取り組んできました」

 打撃練習が奏功し、今春のリーグ戦では12試合で10安打、うち2本が本塁打と秘めたるパンチ力まで披露した。安定間のある守備も含め遊撃手部門でベストナインを獲得するなど、見事ブレイクを果たし、代表選考合宿に選出されるまでに成長した。合宿でも連日快音を響かせ、「10割りで振る必要もないですし、7、8割でスイングをかけてある程度芯に当てれば、打球が飛んでいくとこの冬で実感しました」と手応えを感じている。

 自慢の守備でも「大塚(瑠晏)さんや的場(北斗)さん、勝田さん(成)にそれぞれ違う良さがある。一つずつ吸収すれば自分のレベルがあがっていく」と先輩を手本にどん欲な姿勢を見せている。特に世代屈指の守備力で知られる大塚に対し、軽快な足さばきに関して問うと、「土のグラウンドの場合、いつバウンドが変わるかわからない。詰められる時に詰めて、自分の幅で取ることを意識すれば、1歩目の反応であったり、打球に対しての寄りだったりが良くなると話していた」と守備の極意を学ぶなど、充実した合宿生活を送った。

 2日目を終えた時点では「グラウンドに立ったら学年は関係ない。持っているもの全てアピールしたい」と話していた緒方。結局最後まで攻守に存在感を示し、豪華内野手陣の中に名を連ねた。7月8日から始まる日米大学野球選手権大会でも、非凡な才能を世界にも見せて欲しい。

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