21日から始まった侍ジャパン大学日本代表の選考合宿では、代表入りをかけ、50選手によるし烈なアピール合戦が行われている。その中でも今秋ドラフト候補の剛腕が初日の紅白戦で存在感を示した。

 最速159キロ右腕・北海学園大の工藤 泰己投手(4年=北海)は2回を投げて被安打1無失点。この日は編集部のスピードガンで最速154キロを計測するなど、自慢の真っ直ぐで強打者を打ち取った。

 工藤は全日本大学選手権に出場し、ベスト8進出に貢献。その後は選考合宿までの期間で投球フォームの改善に着手した。

「肩、肘、手首の支点を使って投げるのが理想ですが、大学選手権では肘と手首が同時になっていました。そこを改善して3つの支点で順番に投げられるように取り組んできました」

 実際に今秋のドラフト1位候補・立石 正広内野手(4年=高川学園)を見逃し三振に切るなど、3つの三振を奪った。この日の投球を振り返り、「指のかかりも良かった。球もホップしているとキャッチボールから感じていた」と確かな成長を実感している。

 最速157キロ右腕の東北福祉大堀越 啓太投手(4年=花咲徳栄)は「先発らしさをだしたかった」と、変化球を織り混ぜた投球を披露した。最速は149キロながら3回1失点にまとめた。

 冴え渡ったのは「この冬で手応えを感じている」と語ったフォークだ。昨夏の代表候補でヤクルト1位・中村 優斗投手(諫早農ー愛知工業大)から握り方を教わると、真っ直ぐと同じ軌道から投げることを意識し、この春から空振りがとれるようになったことで自信をつけた。この日の試合でもフォークで三振い、「これだけ良いバッターが揃うなか、どれだけ通用するか試したかった。対アメリカを考えると落ちる球は有効になると思うので、良いアピールになった」と振り返った。

 堀越は昨年も候補合宿に参加したが、代表に選出されることはなかった。「去年は選ばれずに悔しい思いをした。今年は代表入りに向けて全力で取り組んできたので、あとの2日間もプレー以外も含めてアピールしたい」と闘志を燃やしている。