<令和7年 春季関東地区高校野球 埼玉県大会:浦和学院 7-2 叡明>◇4日◇決勝◇県営大宮球場

「今大会はあえて優勝を狙わせている」

そう語ったのは叡明・中村要監督だ。中村監督は元浦和学院コーチ。古巣相手に高まるものもあったであろうが、「よく戦ったと思います。岡部君を引っ張り出すところまでは行ったので」と、冷静に試合を振り返った。

「田口で行けばある程度抑えられることはわかっているんですけど、昨日の死球の影響あったので、できるだけ増渕で。収拾つかなくなったら田口で」と、今までの試合同様、増渕 隼人(3年)、田口 遼平(3年)のリレー、真っ向勝負で浦和学院へ挑んだ。

「増渕は逃げずに行ったので今彼が持っている力は出せたかな」と、最速140kmで球質の良い増渕は強打の浦和学院打線の前に5回8安打5失点で降板も一定の評価を与えた。

 6回からは最速142kmのエース田口がマウンドに上がる。ただし、この日、3回表、ショートでの守備時に盗塁を狙う走者と交錯し中指と薬指をケガする2日連続のアクシデントの影響が心配された。

「(前日の死球も含め)正直少し影響はありました」と、田口は正直に認めたが、それでも、4回3安打とチームに流れを持ってくる投球を見せ、7回裏には主将・根本和真(3年)が2ランを放ちエース岡部修弥(3年)を引っ張りだした。だが、「浦学打線は少し甘くいくとやられる。ホームランは失投です。インコースの真っ直ぐを狙ったんですけど甘く入っちゃって。ただ藤井くんに対しては外の球もレフトに運んでいたのでとにかくインコース勝負で打ち取れました」と、玉木敬章(3年)にダメ押しの一発を浴びた反省も口にした。

「冬場に下半身を鍛え、フォームも今まで軸足突っ張って力が伝わっていなかったので、ピッチングの解析をしてもらいクイックの状態でパワーポジションを作り、軸足を曲げて前足をスッと置くフォームに昨秋から変更し真っ直ぐの威力も上がったので差せているのかな」と、昨秋からの成長を語る田口。1年夏の上尾戦で好投し注目されるとその後も大事な試合を数々任されてきた。今大会は増渕が台頭し、打線も切れ目ない。田口や叡明の集大成となる夏に向け関東大会は試金石となる。

「関東大会で自分の投球がどれだけ通用するか楽しみです」(田口)

「関東大会では逃げずにぶつかって、1球のミスなど基本的なことを徹底させたい」(中村監督)

 相手は山梨県の1位校。苦戦が予想されるが叡明は初の関東で暴れることができるか。