片倉が白井と合同練習 初の遠征に心躍らせる「他校との交流は楽しいし、刺激にもなる」
合同シートノック
冬休みに入った12月25日に、東京都の片倉と千葉県の白井が合同練習を行った。これは、正式名称「高校生元気アップスポーツ交流事業(地方創生事業)」というもので、[stadium]銚子スポーツタウン[/stadium]で午後1時から行われた。[stadium]銚子スポーツタウン[/stadium]は、かつての銚子市立銚子西高校の学校跡地で、これを新たにスポーツ施設として一般に提供していくようになった。外野後方には、何台もの風力発電の風車がグラウンドを見守っていた。
「高校生元気アップスポーツ交流事業(地方創生事業)」とは、東京都の教育委員会が主催している、東京五輪の普及活動の一環としての都の事業である。学校側が申請書を提出し、それを受けて都が認めたら、東京都事業重点推進校と認定される。これは、スポーツ文化活動を通じて現地での交流をしながら、地域を活性化していこうというものでもあり、遠征等に対して都からの補助が出ることになっている。本来は、夏休みなどに多く行っていて、1校で2部活ということになっている。
宮本 秀樹監督の「県(都)外の選手たちとの交流や合宿を経験することで、選手たちも成長していくことが多い」という方針もあって、従来から片倉野球部は比較的遠征合宿も多く組んでいた。そして、同事業の申請もよく行っていた。かつては片倉の場合はバスケットボール部やなぎなた部などと並行して申請して長野遠征などを行っていた。長野での文化交流ということでは、蕎麦打ち体験なども行ってきたという。
しかし去年と今年は、新型コロナの影響で夏の遠征合宿等がすべて自粛、中止となっていた。そんな経緯もあって、今回に限り冬休みを利用して単独部活でもOKということになっていた。そして、千葉県の学校との交流ということも含めて、白井との合同練習という形になった。片倉はマネジャー含めて45人という大所帯に対して、白井は総勢で10人という小世帯。しかも、現在はケガなどで3人が欠場していて7人しかいない。そんなこともあって、櫻井 剛監督も快く片倉との合同練習を受け入れた。
今回のいきさつとしては、まず東京都教育委員会から千葉県教育委員会へ連絡が行き、それを受けて千葉県教育委員会から片倉高校の校長へ連絡がいく。そこで確認が取れたら、今度は片倉の学校長から白井高校の学校長へ連絡が行く。これで学校としては正式に受け入れを公認したということになる。
ただ、高校野球は12月から1月、2月、3月1週目までの間はアウト・オブ・シーズンということで対外試合は禁止となっている。だから、この時期に合同練習を行う場合は、野球部として各高野連に報告して合同練習予定と内容を提出することになっている。そこで承認を得られたら、合同練習を行うことは可能となっている。
合同練習はノックが中心
合同練習は厳密にいうと、試合はもちろんのこと、試合形式の練習も認可はされない。だから、あくまでノックでの基本的な守備練習や、連係プレーの動きなどの確認や、ラン&ダウンプレーのパターンを頭に入れて身体に覚えさせる動きを確認していくなど、地味な練習ということになる。それでも、選手たちにとっては、「他校との交流は楽しいし、刺激にもなる」という気持ちが強く、通常練習では得られない目に見えない効果もあるということだ。
片倉の場合、今の2年生たちは、コロナの影響で遠征合宿は一度も出来ていなかった。だから、今回の東京都を出ての合宿練習に対してのモチベーションも上がっていたという。また、選手の保護者たちも何人か同行してきており、観光も兼ねて銚子市街のビジネスホテルに宿泊するということだった。
今回の地域文化交流として片倉の部員たちは、富津港での海苔打ち体験なども行うという。こうした文化体験も高校生元気アップスポーツ交流事業の一つということである。
なお、この高校生元気アップスポーツ交流事業は来年からは、また新たな形の創生事業活動を行っていくということになるようだ。
練習メニューとしては、身体作りもあるが、やはり広いグラウンドがあるということで連係プレーのパターンの確認がメインになっていた。ことに、どこへ飛んだ打球に対して各野手がどんな動きをしていくのか。あるいは、それぞれのケースによって、送球の判断なども異なってくるので、そのケーススタディを身をもって覚えていくということである。また、走者となる選手も、走塁判断の感覚を身に付けていくことになる。
「いつもの練習とは、ちょっと勝手が違うところもあるけれども、選手たちにとっては刺激になることも多いんじゃないかなぁ。こうした体験はやはり貴重だと思いますよ。それに、遠征のできなかった学年だから、親たちも今回の同行を楽しみにしていた人も多かったみたいです(笑)」と、宮本監督は、成果を感じていた。
(文・取材/手束 仁)