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来年は打高投低の予感!?神宮大会を沸かせた超高校級捕手、大型遊撃手、巧打者たち

2021.11.28

 大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた第52回明治神宮大会。1年生の活躍で沸いた今大会だったが、2年生野手のレベルが高かった大会でもあった。決勝戦では壮絶な打撃戦になったように、来年の全国大会は打高投低になるのではないだろうか。レベルの高い超高校級の打者たちを紹介したい。

世代屈指の捕手となった松尾、大型外野手・海老根の可能性

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海老根優大、松尾汐恩(ともに大阪桐蔭)

 優勝した大阪桐蔭の正捕手、松尾汐恩捕手(2年)が見せた攻守の内容が充実していた。打撃では決勝の広島広陵(広島)戦で2本塁打の活躍。トータルで13打数8安打と、大舞台で結果を残した。松尾の打球は右中間へ大きく伸びるのが長所だが、明治神宮大会では甘く入れば豪快に引っ張ってレフトスタンドへ特大弾が打てる姿も見せた。

 もともと遊撃手だったこともあり、フットワークが実に軽快で、二塁送球1.9秒台の強肩で相手チームにプレッシャーを与えた。

 これまでも高評価されていた捕手だが、これまでの大会と違うのは豪快なインパクトを与えた点にある。打撃だけではなく、経験値の高さを活かし、勝利に導いたリードもあった。もちろん細かいところに目をつければ課題はあるが、高校生捕手が豊富な22年世代で一歩リードしていることは間違いない。

 初戦の敦賀気比(福井)戦で、本塁打を放った海老根優大(2年)も魅力的な大型外野手だ。19年、U-15代表の4番打者として、開催地の坊っちゃんスタジアムで特大本塁打を放った。鳴り物入りで入学したが、1年秋はベンチ入りしても、目立った活躍はできなかった。2年秋から主力打者として活躍。レベルスイングを心がけ、甘く入ったボールを捉え、レフトスタンドへ持っていく素質は高いものがある。まだ全体的に荒削りで、守備でも抜群の強肩、俊足があるものの、シートノックのバックサードではカメラ席に直撃する大暴投があり、たまたま三塁側の雑誌協会席でみていたが恐怖感があった。大阪桐蔭がどのように海老根の才能を開花させるかとても興味深い。

 現時点ではどのステージに進んでも、コンタクト力の低さが課題となりそう。まずは半年にどこまで、コンタクト力をレベルアップさせるられるか注目をしていきたい。

[page_break:どの学校にも将来性豊かな打者が満載]

どの学校にも将来性豊かな打者が満載

来年は打高投低の予感!?神宮大会を沸かせた超高校級捕手、大型遊撃手、巧打者たち | 高校野球ドットコム
野田海人(九州国際大付)

 準優勝の広島広陵は、野手の高素材が揃っている。大会通算となる300号を放った内海優太外野手(2年)は大型打者ながらレベルスイングで、着実に安打を重ねる打撃技術は魅力的だ。パワフルなスイングの1番中川将心外野手(2年)も花巻東(岩手)戦で猛打賞を記録した。広島広陵から大商大に進学し、1年春からベストナインを獲得した渡部聖弥(1年)のようなスラッガーへ育つ可能性がある。

 ベスト4の花巻東には高知戦で高校通算40号本塁打を放った田代旭捕手(2年)がいる。フルスイングが自慢の強打者で、しっかりと狙い球を絞って広角に鋭い打球を飛ばす打撃技術の高さには素晴らしいものがある。ここぞという場面の勝負強さもあり、捕手としても常に走者を観察し、牽制死でアウトにする強肩もある。遊撃手・宮澤 圭汰(2年)は躍動感のある動きで、好守備を連発。横っ飛びするだけではなく、センターより、三遊間よりの打球に対しては足を使って回り込んですぐに送球するプレーは芸術的。本塁打も打てる巧打者だが、上位打線につなぐためにしっかりとレベルスイングで安打を量産していた。

 ベスト4の九州国際大付(福岡)の野田海人捕手(2年)は、二塁送球1.9秒台の強肩が持ち味の捕手。投げても、145キロ前後の速球と、切れのあるスライダーを投げる野球センスの高さがある。今回の明治神宮大会では、9打数2安打に終わり、持てる力を発揮できなかった。タイプ的には阪神・梅野 隆太郎 捕手(福岡工大城東出身)を彷彿させる逸材。全国大会の経験を経て、捕手としてレベルアップできるか、注目だ。

 大阪桐蔭戦で本塁打を放った黒田義信外野手(2年)は、今年の九州国際大付打線の中では最も良い打者。三塁側から見ると、どのコースに対してもスパッと振り抜いて、あっという間に長打にする打撃技術は素晴らしいものがある。外野守備もレベル高く、来年以降も要注目の強打者だ。

 初戦で敗れたが、高知はタレント野手揃いのチームだった。適時打を放った高橋友(2年)のスイング軌道、打撃技術の高さは必見の大型三塁手。超高校級の強肩で補殺を狙える外野手・川竹巧真小西 拓斗の動きも素晴らしく、荒削りではあるが、今後も注目したい選手だった。

 初戦で敗れた國學院久我山(東京)では、大型遊撃手・下川邊 隼人が本塁打を放ち、さらにしなやかな動きで好守備を連発。その姿は紅林弘太郎駿河総合-オリックス)の高校時代を思い出す。

 自慢の強力打線が不発に終わったが、明秀学園日立(茨城)の1番・佐藤光成外野手(2年)の打撃には打球速度があり、脚力の高さやスローイングの強さもある。サイズの大きさを含めて、世代トップクラスの外野手になりそうだ。

 敦賀気比も打者のレベルは非常に高い。北信越大会から高打率を残していた春山陽登外野手(2年)は適時二塁打を放ってみせたが、打撃フォームに大きな癖がない巧打者だ。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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