第66回 目白研心高校(東京)2012年05月04日
【目次】
[1]2人の先輩がつなげてくれた野球部
[2]日々、高まるモチベーション

日々、高まるモチベーション

練習を見守る鈴木監督
春になって、3人の部員たちが2年生になると、ずっと心待ちにしていた『新入部員』が、やってきた。
野球に興味がある生徒を鈴木監督自ら声を掛け、「一緒に野球をやろう!」と熱い思いを伝えて回ったのだ。その結果、入部を決めた1年生は12名。
「早くチームの戦力になってもらいたい」(鈴木監督)と、3月29日から3日間、強化合宿を行った。連日行われた練習試合では、すべて10点差以上つけられての大敗。
「負けることに、慣れないでほしい」という鈴木監督の不安をよそに、選手たちのモチベーションは日に日に高まっていった。
例えば、入部したばかりの1年生に課したスクワット100回のトレーニングメニュー。その取り組む態度が悪い部員に対して、お互いに言い合って、取り組み方を改善していたのだという。鈴木監督はたまたま通りかかったところ、部員同士で言い合いをしている場面を見たのだそうだ。
「正直ちょっと驚きましたね。自分が苦しいだけじゃなくて、チームの雰囲気とか仲間の様子も見て感じることがすでに出来ていたので。
1年生たちにもよく、『注意力と観察力を高めろ。それがプレーに生きてくるから』って選手たちには話しをしているのです。僕らのようなチームが試合で勝つには、まさにそこだと思うんですよね」
気が利くやつになれ――この日の練習でも、鈴木監督は何度も、その言葉を選手たちに伝えていた。

「創部したばかりのチームで、この場所でしか経験できないことを選手たちには身に付けてほしいんです。練習時間も、実際にグラウンドが使えるのは、平日は週3日の1時間30分のみ。だからこそ、物事の捉え方や考え方を工夫しながら、チームを作っていってほしいんです」
その先に何があるのか――
鈴木監督は、具体的な目標でそれを語ろうとはしない。
「僕はこれまで日本一を目指す野球をしてきました。だけど、ここでは、目標は選手それぞれが持っていていいと思うんです。甲子園に行きたい選手もいれば、代打でもいいから一度でも打席に立ってみたい選手もいる。どんな目標でも、そこに向かって工夫しながら、3年間やり抜いてほしい」
そして、野球部員のその頑張りこそが、男女共学となったばかりの学校にも、活気を与えられるのだと、鈴木監督は考える。
「新入生約170人の生徒の中で、男子生徒は60~70人。その男子生徒の6人に1人が野球部なんです。元々は女子校だったので、女子生徒のパワーが強い校風の中で、まずは野球部が男子生徒を、そして学校全体をも盛り上げるきっかけになってほしいんです」
放課後のグラウンド。ラクロス部の練習が終わると、それまで学校の敷地内でウォーミングアップしていた野球部員15名が、僅か1時間30分のグラウンド練習を開始する。
すると、いつの間にか、校舎でぐるっと囲まれたグラウンドの横に、高校の教員たちや、通りかかった学生たち。そして、校舎の窓からは女子学生たちが、野球部の練習風景を眺めていた。
「一番ヘタで、一番マジメなやつが、作ってくれた野球部なんです」そう冗談まじりに、鈴木監督が話していたあの言葉が、ふと思い浮かぶような、まさに野球が好きで好きで仕方ないという表情でボールを追いかける15人の部員たちの姿を、学校の教員たちも生徒たちもどこか楽しそうに見つめていた。
創部4年目を迎える目白研心野球部。 彼らが、熱い風を吹かせてくれる日は、そう遠くはなさそうだ。
(文=編集部)

- 編集長 安田 未由(Myu Yasuda)
- ■ 編集部の媒体プロデュース統括として、企画などを取りまとめる。
- ■ <書籍>主な寄稿・出版物 ・野球ノートに書いた甲子園 シリーズ全5巻(2013年~2017年/KKベストセラーズ)
- ■ 講演依頼
・スポーツ感動物語 アスリートの原点「遅咲きのヒーロー」(2016年/小学館)
・甲子園だけが高校野球ではない 1&2巻(2010年~/監修・岩崎夏海/廣済堂あかつき出版社)
・ただ栄冠のためでなく(2011年/共著/日刊スポーツ出版社)
・「高校野球は空の色」「高校野球が教えてくれたこと」など大学時代に3冊出版
勝つことがすべてではなく、勝ちたいと思うことがすべてだ。
いつも影ながら応援してます。
1、2年生が中心のチームでハツラツとして、
そしてご父母、生徒たちの応援が凄かった。
まるでawayで負けている気さえする、
そんな元気あるチームでしたね。
来年、再来年と良いチームになって旋風を巻き起こして下さい!!
これからの活躍を期待してます(^p^)うへ
鈴木監督、甲子園ついて来ます!
そんな鈴木さんに野球を教えて貰っている部員の方を羨ましく思います。人数が少ないなか野球が出来る環境を作った鈴木さんの力もすごいと思いますが試合に出れない環境でも野球続けた3名の部員の方は本当に野球が好きなんだなと思います。野球から学べる事はたくさんあると思いますのでこれからの人生におおいにいかして頂きたいと思います。
鈴木さんまたお邪魔します!!その時はよろしくお願いします。
鈴木コーチ頑張ってください!!!!
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