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桐生第一投手陣は入学から5キロ〜10キロアップを実現、練習環境やサポート体制を徹底紹介

2022.05.26

 1999年夏、群馬県勢初の甲子園優勝を果たした桐生第一。福田監督時代から技術を徹底的に突き詰め、独自の練習メソッドで選手の技量を高めていくチームだった。

 現在の桐生第一の体制では、投手育成メソッドが優れているといえる。

 今年は145キロ右腕・北村流音投手(3年)が注目を浴びているが、その他の投手陣もレベルが高く、着実に層が厚くなっている。

トレーニング環境がラプソード導入で飛躍的にレベルアップ

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 桐生第一ではトレーニング環境が整備されている。ジムが2つあるが、学校の中にあるジムには、肩甲骨、股関節など可動式を広げるトレーニングやひねりながら強い動作を出すトレーニングなど、投手の投球動作に欠かせない動き、筋肉をバランスよく鍛えている。

 もう1つはジムパークと一般の人も活用するトレーニングジムと契約し、投手陣はそこでもトレーニングを行う。このジムには弱い周波を与えながら腕立てや腹筋などができる機械があるなど、器具の1つ1つが高価で意識高く取り組めば効能が高いものがそろっている。投手に必要な動き、筋肉を効率的に鍛えられる上に、それに取り組める施設が学校近くにあるアドバンテージの大きさは計り知れない。

 グラウンドの中にあるブルペンでは、縄跳びを行うが、この縄跳びは普通の縄跳びよりも重く、なんと1キロもある。実際に持っても「ズシリ」と来る。この縄跳びで、下半身、体幹、上半身の筋肉を鍛えている。

 トレーニング面だけではなく、コンディショニング面でのサポートも優れている。理学療法士が週1回、ラプソードの計測を行い、投球内容や、回転数、投球の質などを見てアドバイスをする。また、投手陣や野手陣は理学療法士に気軽にケアや故障について相談ができる体制をとっており、今泉監督を始めとした指導スタッフも全幅の信頼を置いている。

 今泉監督は「本当に大きいです。コンディショニングの知識、ケアに対する知識など専門性の知識は我々では絶対に到達できない領域。そうした方にサポートしてもらえるのはありがたいことです」と語る。

 投手だけではなく、野手ももちろん、その理学療法士に相談する。取材日でも1年生の選手が高校入学前から抱えていたケガについて相談していた。その理学療法士は選手に対して、具体的なアドバイスを行う。エースの北村は右肩の鎖骨部分を痛め、手術。そしてリハビリを経て、3月に復帰した。手術のススメや、手術後のリハビリについても理学療法士にアドバイスをもらいながら、できたという。

「理学療法士の方にラプソードを測ってもらって、アドバイスをいただいています。投げたボールやコンディションの状態を見てアドバイスをもらっているので、助かっています」

 最新鋭のトレーニングで投手に必要なトレーニングを行い、最新器具・ラプソードを使い、回転数、回転軸などを測定し、自分の能力を客観視してレベルアップしている。

 その結果、投手陣は入学時から5キロ〜10キロ以上はスピードアップに成功しており、多くの投手が130キロ以上の速球を投げることができている。

[page_break:今年の桐生第一は145キロ右腕だけではなく、好投手多彩]

今年の桐生第一は145キロ右腕だけではなく、好投手多彩

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寺門京佑投手

 この環境下で育った桐生第一投手陣には、北村以外も期待の投手が多い。

 春の県大会で背番号1を背負った左腕・寺門京佑投手(3年)は、130キロ前半ながら、好調時の回転数は2300ほどと、高回転を誇る。取材日のブルペン投球では、県大会時よりも球が走っているように感じた。さらに左腕・市川一樹投手(3年)も最速137キロを誇る。

 また驚かされたのは、町田宏樹投手(3年)。端正な投手体型から鋭く腕を振っていき、140キロ前後の速球を投げ込む。投球練習では威力抜群の直球を投げ込んでいた。

 松原健太投手(3年)も、130キロ後半の速球を投げ込み、変化球もしっかりとコントロールされていた。完成度も高く、夏の活躍だけではなく、卒業後の活躍にも期待がかかる。2年生ではドミンゴスキヨシ投手、石原煌大投手が快速球を投げ込んでいた。新チームでは主力投手候補として期待される2人は、しっかりと土台を固めている。

 1日の取材を通して、桐生第一の環境なら投手陣が伸びるのも必然だということを感じた。今後も、やる気、知識、技術に満ち溢れた新入生投手が入ることになれば、全国トップクラスの投手陣になる可能性は十分にある。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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