手束仁の 都立片倉高校野球部岐阜県遠征同行日記

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第6回 手束仁の 都立片倉高校野球部岐阜県遠征同行日記 ~第三日目~2013年08月26日

【目次】
第一日目:8月2日(金) 第二日目:8月3日(土) 第三日目:8月4日(日)

丁寧にグラウンドを整備する県岐商の部員たち

丁寧にグラウンドを整備する県岐商の部員たち

8月4日(日)
 この日は、県立岐阜商と三重県の近大高専も混じっての変則ダブルという日程になっている。都立片倉は、1、2試合目を戦い、そのまま帰郷するというスケジュールだ。3試合組まれているということで、球場には8時集合となっている。

 それに従って食事スケジュールなどが決まっていくので、6時30分に朝食、7時15分出発ということになった。場所は、旧昭和コンクリート球場で現在は三甲スタジアムと呼ばれているところだ。昭和コンクリートは、90年代から2000年代にかけては東海地区の社会人野球の強豪チームの一つとして活躍。県立岐阜商出身者が多いことでも知られていたが、その時代に都市対抗にも6度出場している。時代の流れの中で、チームを手放さざるを得ない形になって、グラウンドだけが残った。

 いろいろな縁もあって、昭和コンクリート時代には、県岐商が比較的優遇されながら使用してきたグラウンドでもある。一昨年に軟式チームを保有している株式会社サンコーが買い取り、現在に至っているという。

県立岐阜商 200 000 010=3 
都立片倉  001 000 001=2

近大高専 000 010 073=11 
都立片倉 000 000 200=2

都立片倉の宮本監督としては、この遠征の最大の目標として、この日の県岐商との試合を掲げていた。そして、選手たちにも、しきりにそのことを伝えていた。

真中が県岐商・藤田明宏監督

真中が県岐商・藤田明宏監督

 「県立岐阜商との試合は、長島で行こうと思っていましたし、本人にも伝えてありましたから、その気になっていたんじゃないでしょうか」という長島君は、多少意識したのか、立ち上がりはいくらか力んでいた印象だった。先頭の村居君は三振に切って取ったが、続く佐竹君に中前打されると盗塁で二塁へ。打たれまいと意識して上野君には四球、堀内君の投ゴロを焦って二塁悪送球で満塁。ここで、5番加藤君に右前打を許して2点を失った。ただ、ここから大きく崩れていくのではないかという場面を併殺で切り抜け2失点で終えられた。緊張感のある試合の立ち上がりということでいえば、練習試合とはいえ、その大事さを改めて学ぶことが出来た試合だったのではないだろうか。

 2回も失策の走者を出し、四球などで満塁のピンチを迎えたがその後を抑え、3回以降は目指す投球がほぼできるようになっていた。8回に、6番池田君のバント安打から1点を失い、試合の流れからすれば大きな失点ということになったが、3回以降の投球内容は長島君としては納得のいくもののようだった。都立片倉打線は、県立岐阜商の葛谷君に対して、3回は1番佐々木康君の中前打で1点を返したが、その後は打ちきれず、6回からリリーフした山川君に対しても手こずっていた。しかし9回、押切君と途中から5番に入っていた佐々木玲君の安打などで1点差としなおも一死一二塁、二死二三塁と一打逆転まで追い込んだものの、あと一本が出なかった。

 一緒に観戦していた県岐商の野球部OBクラブ委員長の坂口清貴氏も、「なかなか緊張感のある、いい試合を見られました」と、満足していた。県岐商の藤田明宏監督は、「夏からはメンバーもすっかり入れ替ってしまっていますから、まだ手探りの状態なんですよ。どんな試合になるのか、心配でもあります」などと言っていたが、さすがに県岐商。チームとしては、ソツなくきちんとまとまっているという印象だった。

 一緒に観戦していた県立岐阜商の野球部OBクラブ委員長の坂口清貴氏も、「なかなか緊張感のある、いい試合を見られました」と、満足していた。 県立岐阜商の藤田明宏監督は、「夏からはメンバーもすっかり入れ替ってしまっていますから、まだ手探りの状態なんですよ。どんな試合になるのか、心配でもあります」などと言っていたが、さすがに県岐商。チームとしては、ソツなくきちんとまとまっているという印象だった。

 近大高専との試合には、都立片倉は速球派の矢ケ崎君が先発した。5回に、死球絡みでピンチを作り、1番牧野君の右前打で先制点を許すが、7回に相手失策や暴投からチャンスを得て、矢ケ崎君自らのタイムリー打で逆転。都立片倉としては、逆転勝利でいい形で遠征最終試合を締めることが出来そうな雰囲気だった。 ところが8回、1死から突如矢ケ崎君が崩れて、7失点。安打されて四死球という課題としていた、もっともよくないパターンが出てしまった。その直前に、捕手の高橋城君がワンバウンドをのどに当てて退場となったことも効いていたのかもしれない。

 急遽リリーフした馬場君も、気持ちの準備がやや不足していたのか、抑えきれなかった。こうして、最後の2イニングは大量失点という形になってしまった。「あの2回はなかったことにしたいね」と、宮本監督も苦笑だった。それでも、近大高専の高原広秀監督は、「(矢ケ崎君は)いやー、球も速いし、いい投手でしたね。ラッキーで、あんな形にはなりましたけれども、あのままやられるかと思っていました」と、矢ケ崎君を称えていた。

 都立片倉の一行は、試合を終えると挨拶をしてそのままバスに乗り込んで一路、八王子の学校へ向かっていくことになった。15時出発である。途中2度、サービスエリアで休憩をはさみながら、約6時間半をかけて戻った。すっかり暗くなっていた学校では、遠征に同行出来なかった父母たちが迎えに来ていた。

 早朝の送り出しと夜の迎え。今の高校野球は、こうした親の援護、サポートがないとやっていけないのだなということも、また、改めて実感した遠征でもあった。

(文・写真=手束 仁

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近大高専 【高校別データ】
県立岐阜商 【高校別データ】
都立片倉 【高校別データ】

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
  • ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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