Column

岡本和真を輩出した智辯学園期待の怪物スラッガー・前川右京の進化の軌跡

2020.08.13

 打率.586、17打点、6本塁打を記録。強打が自慢の智辯学園の中でも突出した成績を残している驚異のスラッガーが前川右京だ。

 現在2年生だが、177センチ88キロの恵まれた体格から風格すら感じさせる。1年生の夏から4番に座って高校通算は24本塁打を記録しており、同世代のなかでもトップの成績だ。岡本和真(巨人)などを輩出してきた智辯学園の怪物スラッガーの進化の軌跡に迫る。

下半身の使い方をマスターして球場を沸かせるスラッガーに

岡本和真を輩出した智辯学園期待の怪物スラッガー・前川右京の進化の軌跡 | 高校野球ドットコム
前川右京(智辯学園)

 前川は、小坂将商監督など周りの指導者から常々、下半身の使い方の重要性を指摘されてきた。

「言われるまでは特に意識等はしていませんでした。ですが周りからのアドバイスをもらってから使い方を意識し始めたら、打球が伸びるようになりました。また少し詰まってもホームランにすることが出来たり、打率も残せるようになりました」

 下半身の力も利用して打球を飛ばせるようになったことが、打球の質の変化に繋がっていたことが考えられる。では、下半身をどのように使うようになったのか。前川はこのように分析する。

「右足を踏み込んだ時に軸足である左足を素早く回転させるようにしたんです。これをすることで、身体の回転を使ってバットをドアスイングではなく最短で出せるようになりました」

 また、身体が前へ突っ込むことが悩みだった前川。調子を落とした時に、1学年先輩である大橋誠斗からアドバイスをもらって。練習をし始めた。その結果が、打率と長打を打てるスラッガーへと成長した。

 しかし前川の中では下半身の使い方は完全にマスターできておらず、現在も課題だと感じている。

「高橋投手のような速球に対して力で勝負をしてしまうところがあるのですが、そういう投手にこそ身体の回転や切れで打つことが出来れば、もっと結果を残せると思います」

 中京大中京戦では、最初の内は力んでしまい空振りが多かった前川だが、小坂将商監督から「回転で打て」と言われた。そこから力を抜いて課題としてきた回転を意識した結果、3打数1安打という結果を残した。

「智辯の4番がノーヒットでは終われないので、気持ちといいますか『負けていられない』と思いながら打ちました」と前川は語るが、3年生の最後の試合で勝利を掴めなかったことに悔しさを感じていた。

 新チームがスタートし、前川もいよいよ最高学年になる。これまで以上に注目されることとなるが、目標は日本一だ。

「春夏ともに甲子園に出て、全員で優勝を獲りに行きたいです。なので、甲子園は甘くないことをチーム全員に伝えて、練習から緊張感をもって1日を無駄にせずに過ごしたいと思います」

 また智辯学園の主軸として、スイングと打球で球場を沸かせ、将来的にはプロに行くことを語った前川。その目標を実現すべく、今も前川はバットを振り続ける。

(記事=田中 裕毅

関連記事
【選手名鑑】ドラフト候補・常田唯斗(飯山)の魅力は?
甲子園で衝撃を与えた最速146キロ右腕・常田唯斗(飯山)が磨いてきた全国で戦うためのピッチング
【トーナメント表】長野は飯山vs佐久長聖が決勝へ!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.08

平成国際大の新入生は逸材揃い!帝京&茨城4強右腕、日本文理の遊撃手、高校通算20発以上の強打者らが加入!

2024.05.08

4連覇狙うオリックスの起爆剤へ! 二軍で輝く3選手

2024.05.08

古豪復活! 42年ぶり春季神奈川優勝の武相、背景にあった「徹底的な打力強化」と「9イニング勝負」

2024.05.08

筒香嘉智の復帰即逆転3ランにベイOBも興奮!二軍の打率1割台でも力を発揮できた理由とは!?

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.03

【埼玉】春日部共栄の「反撃」なるか、5年ぶりの関東切符狙う<春季県大会>

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.03

【春季埼玉県大会】山村学園の打線が爆発!エース西川も好投!立教新座を一蹴し準決勝進出!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>