武相の復活に刺激「いい意味でプレッシャー」

△主将を務める秋丸選手

 苦戦が続く伝統校を横目に、神奈川で一足先に”古豪復活”を果たした学校がある。ヤクルト・塩見 泰隆外野手の母校でもある武相だ。昨春の神奈川大会決勝で東海大相模を9対8で下し、42年ぶりに春の頂点に立ったのだ。夏も横浜と1対2の激闘を演じ、文字通り「復活」を印象付けた。法政二と同時期に神奈川でしのぎを削った学校でもあり、指揮官にとって武相の躍進は大きな刺激となった。

武相さんの春優勝はいい刺激になりました。我々も負けないように復活しなければいけないですし、いい意味でプレッシャーを感じました。それを受けて強い法政二を取り戻すことを意識して選手たちは練習してくれています」

 だが、現実は甘くない。今春の神奈川大会では、初戦で延長10回に4点を奪ったがその裏の守備で5失点を喫し、藤沢西にサヨナラ負けの屈辱を味わった。投手陣の制球力が乱れ、あと一歩の所で勝利を逃し、早々に姿を消すこととなった。

 厳しくも残酷な結果に終わったが、選手たちに下を向く時間はない。父が法政二出身でもある秋丸 立志主将(3年)は「夏は一発勝負なのでなにがあるかわからない。なんとか自分の代で上位に入って、少しでも法政二が甲子園に近づけるようにしていきたい」と来る夏に向け、闘志を燃やしている。

「強い法政二を取り戻す」

 母校再建を託された絹田監督は、名門復活に向け打力強化に力を入れていると口にする。

「30年以上甲子園に出られず、“古豪復活”を目指して強い法政二を取り戻す中、伝統的な野球を引き継ぎながら、なおかつ新しいものを取り入れなければ勝てないと思っています」

 今年のチームは主将の秋丸が「打撃陣が充実しています。投手力の制球力は課題ですが、3点以内に抑えて5点以上とって勝つことを目標にしています」と話すように、攻撃陣の活躍が勝利にカギを握っている。指揮官も「基本的には田丸監督が作った法政二の野球が中心ですが、温故知新という言葉もあるように、ベースとなるものを大切にしながら『打って勝つ』。打の方にも力を入れた野球スタイルでチーム作りをしています」と、冬場は例年以上に振りこみ、緻密な野球が下地にある法政二の打撃面を強化していくことで夏に備えている。

 夏の大会では2023年に9年ぶりとなるベスト32進出。昨年も同様の結果を残し、希望の光は見えている。

「『甲子園に戻ってきて欲しい』という声は常に聞こえてきます。なかなか結果が出ない中で苦しい部分もありますが、なんとか乗り越えて甲子園に向けて頑張りたい」

 今夏の初戦は7月10日。対戦相手は金沢総合に決まった。OBの思いを背負った法政二の選手たちは、甲子園を知る指揮官の下、全国で最も熱い神奈川の夏に乗り出す。

【動画】法政二の練習に密着!

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