大阪桐蔭、履正社を破って甲子園へ
大阪学院大高の野球を見たのは春季大会の初戦。転入前にチームのことを少し調べていたというが、球場で見た選手たちの表情を見て、さらに野球をやりたい気持ちが強くなった。
「詳しい情報までは調べられなかったので、初めて見たときはレベルが高くて素直にびっくりしました。ただ表情は凄く良くて、楽しそうにプレーしている印象を受けるのと同時に、『もう一度野球がしたい』と気持ちが強くなって、今は本当に野球が出来る喜びを感じながら日々を過ごしているところです」
大阪学院大高で再び高校野球生活をスタートさせた長瀨。最初は慣れない環境に「緊張しましたし、すごく不安もありましたが、最初から受け入れてもらえた」とスムーズにチームに溶け込んだ。
そんなチームを率いるのは普段は経営者である辻盛英一監督。異色の指揮官のもとでプレーするうちに、自身の成長を長瀨はこのように話す。
「監督は普段から心技体生活を大事に指導されています。その点、自分はグラウンド外の生活部分でまだ甘いところがありました。
けど野球を中心に生活をしているので、生活からでもピッチング、バッティングに繋がるはずです。なので早寝するとか弁当箱を洗う。自分で出来ることはやるなど、すべて繋がるかわかりませんが、1つずつ細かいことでも1年間見直してきたおかげで、成長できたと思っています」
生活そのものを見直す。口にするほど簡単なことではないが、「楽しいです」と語ると、続けてその理由を教えてくれた。
「1人の野球人として成長しているのを実感できるので楽しいです。全部野球に繋がっていて、実際に取り組む姿勢が変わってから成績も伸びているので。もちろん1人の人間として成長していくことを感じられているので、すごく楽しいです」
その点において、辻盛監督は当時の長瀨の様子を振り返りながら、成長点を語った。
「体が大きくポテンシャルが高い印象でした。ただ、今年の3月まで口数が少なくて、チームのことに関して話すことがなかったんです。表情はどこか不満そうだったので、『思っていることがあるなら言わないといけないで』って伝えたら、『僕は他校から来たので、みんなに対して発言するのは違うと思うんです』と答えました。
だからこちらとしては、『それは違う。今はもう大阪学院大高、野球部の一員だから思っていることは言わないといけない』と話しました。そこからスイッチが入りました。いまでは一番発言しますし、何かあれば集めて伝えたいことを話します。人間的な成長は凄いと思います」
ガッツポーズする長瀬
多くの方々の支えはもちろんだが、大阪学院大高というチームの雰囲気があったことも長瀨にとっては大きかった。本人も「自分がやりやすい環境にしてもらって充実した時間を過ごせているので、すごく嬉しいです」と感謝の思いがある。
と同時に、プロ野球選手になった今坂 幸暉たちの姿を見て、甲子園への思いが強くなった。
「1年間出られなかったもどかしさがあったので、『春、夏に標準をあわせて結果を残したい』と思っていましたが、昨年、春季大会を制して近畿大会に出場した姿を見て、より仲間と団結して甲子園に行きたい気持ちが強くなりました」
ゆえに最後の夏に向けて「投打で活躍して大阪桐蔭、履正社を破って甲子園に行き、優勝したい」と決意は固まっている。
一度は野球から離れてしまう怖さ、苦しさを味わった。だからこそ、いまこの瞬間の大切さ、周りの支えを強く感じているはずだ。それこそが人として最も成長できた点だろう。その成果をプレーに結び付けて、大阪の頂点まで引っ張ることが出来るか。長瀨にとって最後の夏はもうすぐそこだ。
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