<春季高校野球静岡県大会:磐田南5-3浜松商(延長11回タイブレーク)◇27日◇準々決勝◇静岡草薙球場

 今春、快進撃を続けている磐田南。予選の初戦で浜松開誠館に7対0と快勝して勢いづき、湖西に6対2。上位校決定戦でも浜松北に20対5と大勝した。県大会に入っても初戦で静岡学園を7対0、前日の3回戦では富士に7対0でコールド勝ち。17年ぶりのベスト8進出となった。

 浜松商も、予選の上位校決定戦で聖隷クリストファーにタイブレークで競り勝って自信を得て、県大会では駿河総合に4対1で勝利。3回戦では静岡との伝統校対決となったが、序盤のリードを山口 祐誠投手(3年)が丁寧な投球で守り切ってのベスト8進出を果たした。伝統の手堅い「浜商野球」も健在である。

 磐田南は、盤石のエースで打っても4番の山田 堅正投手(3年)、浜松商は背番号11をつけている鈴木 晴貴投手(3年)が先発し、テンポのいい投手戦となった。

 山田投手は先頭に四球を与えたものの、三振併殺で切り抜けると、その後は2~6回まで3人ずつで抑えて、11奪三振無安打に抑えていた。7回に浜松商は二死から3番の永岡 隼輝選手(3年)が二塁打を放ちノーヒットノーランは逃れたが、その後も突破口が開けなかった。

 浜松商の鈴木投手も9回まで散発4安打、四球も9回の申告故意四球のみという形で0に抑えていた。こうして試合はタイブレークに突入した。

 タイブレークでは先頭をバントで送れなかった磐田南が、8番の大庭 煌平選手(2年)が右前へタイムリーとなった。しかしその裏、浜松商の永岡 隼輝選手(3年)のバントが内野安打となり無死満塁。浜松商としては一気にサヨナラという場面を作ったが、5番に入っていた嶺野 叶翔選手(2年)の犠飛のみでタイブレークはさらに続くこととなった。

 11回に磐田南が2番の齋藤 隆太選手(2年)の右前打で再びリード。続く鈴木 天真選手(3年)が右越三塁打で2人を帰してリードを広げた。さらに、4番に入っている山田投手自身も中前へ運んで1点を追加。決定的となった。

 その裏、7番からの浜松商も食い下がったものの、4点差は大きかった。無死満塁から2点は許したが、磐田南としては「3点まではOK」という守りで山田投手が152球を投げ切っての完投勝利となった。

 就任2年目となる磐田南の磯部 祐監督は、「山田がよく投げてくれた。相手の投手よりも先にマウンドを降りたくなかったという気持ちも強く持っていたのではないでしょうか。ストライクを取るには今日はストレートよりもスライダーの方がいいということで、組み立てていったところもよかった」と、山田投手の好投と頑張りを称えていた。

 チームとしては1993年以来のベスト4進出となったが、「練習試合で、近江花巻東といった強い相手とやらせていただいて、互角に戦えたことは自信になっていたと思います。今できることをしっかりとやろうという姿勢でやっています」と、チームとして勢いに乗っている。

 浜松商としては、6回までは初回先頭打者の四球のみで、7回二死まで抑え込まれていた。タイブレークに突入して10回の無死満塁の逆転機を同点に抑えられたことが痛かった。それでも、前日好投した山口投手と、この日の鈴木投手の頑張りで、大きな2本の投手ができたということは、戸塚 和也監督としても、夏へ向けてはいい材料と言っていいであろう。