U-18高校日本代表はなぜ「東都」を目指すのか! ここ2年で11人が日本一の戦国リーグへ進学! 今年は実力派6人が加入予定
新妻恭介、緒方漣、高中一樹、東恩納蒼、知花慎之助、橋本航河
U-18ワールドカップで初の世界一を達成した高校日本代表。彼ら20人の進路がほぼ出そろった。
今年の特徴は、2022年に引き続き、東都大学野球連盟の1部、2部に進学する選手が多いことだ。2019年の代表では0人、2018年の代表では3人だった。ちなみにロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡)、オリックス・宮城 大弥投手(興南)らがいた2019年のU-18代表は高卒プロ志向が強く、13人もプロ入りした。一方で2022年の高卒プロは6人。2023年は5人となっている。
まず22年の高校日本代表で東都リーグに進んだのは
國學院大 赤堀 颯内野手(聖光学院)
青山学院大 渡部 海捕手(智辯和歌山)
中央大 伊藤 櫂人内野手(大阪桐蔭)
中央大 安田 淳平内野手(聖光学院)
専修大 宮原 明弥投手(海星)
最も活躍しているのは渡部だろう。早くも青山学院大の正捕手となり、大学選手権優勝を経験。大学日本代表候補にも選ばれ、昨年12月の強化合宿に参加し、順調に経験を積んでいる。このまま攻守でレベルアップすれば、最終学年では大学日本代表の正捕手になる可能性は十分にある。
赤堀も高校時代、セカンド、ショートをこなしていたが、大学ではファーストとしても出場している。1年秋にはスタメン出場の機会も増えて、23打数6安打、打率.261を記録した。
伊藤は中央大でレギュラーを獲得。1年春は10試合で、27打数7安打、1年秋は45打数8安打だったが、この1年の経験をどう生かすか。安田は秋春合わせて13試合に出場し、20打数2安打と苦しんだが、2年生からはさらに結果を残せるか。
140キロ後半の速球、切れのある変化球を投げ込む右腕として評価が高かった宮原は1年春では6試合登板。秋は1試合登板に終わったが、将来のエース候補として期待が高い。
ベンチ入りの競争が激しい東都1部でも奮闘しているといえるだろう。
そしてこの春からこの6人が東都に入学する。
國學院大 緒方 漣内野手(横浜)
東洋大 高中 一樹内野手(聖光学院)
中央大 東恩納 蒼投手(沖縄尚学)
中央大 新妻 恭介捕手(浜松開誠館)
中央大 橋本 航河外野手(仙台育英)
駒澤大 知花 慎之助外野手(沖縄尚学)
緒方は世界大会でMVPに輝いた好打者。守備力も一級品で、ミートセンスも長けており、1年からベンチ入りに期待がかかる。高中は2年春、2年夏、3年夏と3度の甲子園に出場。ダイナミックな動きを見せる守備とバットコントロールもよく、勝負強い打撃は大きな武器となる。
東恩納は世界大会でもベストナインに輝いた147キロ右腕。投球の基礎もできており、大学1年から活躍が期待される。新妻は昨夏甲子園でも本塁打を放った強肩強打の捕手。打撃型捕手として台頭が期待される。
橋本は甲子園通算歴代4位となる23安打を記録した好打者。高校日本代表では木製バットに苦しんだところはあったが、しっかりと慣れていけば、甲子園で見せてくれたバットコントロールと快足を披露しそうだ。
中央大はこの2年で一気にU-18経験者5人が入ることになる。彼らが活躍すれば、チーム成績も上がり、進路先として人気になるのではないか。
知花は昨年、二季連続で甲子園に出場。甲子園では守備範囲の広い守備、バットコントロールの良い打撃を見せてきた。代表でも安定した守備を見せ、チームを支えた。
最後になぜ東都への進学が増えているのか。この2年間は、東都リーグのニーズにあった選手が多かったといえる。
高校日本代表の監督は高校野球でも戦術、駆け引きの上手さで甲子園54勝を挙げた馬淵 史郎監督(明徳義塾)だった。馬淵監督が選ぶ選手は、実戦力が高く、投手ではコントロール、変化球の精度が優れ、野手では守備力が高く、走塁も上手く、打撃もコンタクト力も高い。
東都1部、2部は緻密な駆け引きで行われ、入れ替え戦もあり、どのリーグよりも実戦力が問われる。そういう意味で、この2年の代表選手は東都リーグの学校のニーズに合った選手たちだったといえる。昨年の世界一で、選出される選手のタイプは継続されることが考えられる。
彼らの活躍によって今後、高校日本代表→東都進学の流れは加速しそうだ。
文/河嶋宗一(編集部主筆)