2回戦 専大松戸 vs 東海大甲府
151キロ右腕が投げなくても、専大松戸が接戦を制する!持丸監督も選手の判断力の高さ、勝負強さを高評価
<第105回全国高校野球選手権記念大会:専大松戸7-5東海大甲府>◇12日◇2回戦◇甲子園
今年の専大松戸(千葉)の強みは2つある。世代屈指の151キロ右腕に頼らなくても試合を作れる投手が3人いること。そして、経験値豊富な野手が多く、終盤にも強いことだ。
この日は1年通して作り上げた判断力の高さを生かしたプレーや、平野以外の投手陣の底上げが実った試合であった。
先発は渡邉 翼投手(3年)。持丸監督は「甲子園入りしてから一番調子が良かったんです。ストレートのキレ、コントロールも。初めて、試合前日、先発を告げました」と語る。渡邉も、この3年で最も調子が良かったと語る。実戦的な練習、ブルペンを評価された。
「監督さんから前日のブルペンで良かったぞといわれて、先発と告げられました」と嬉しそうに語る。
渡邉は甲子園のマウンドでもその実力を発揮し、常時130キロ〜135キロの直球と、鋭く曲がる変化球を武器に、5回まで1失点の力投。6回につかまって途中降板したが、それでも強打の東海大甲府(山梨)相手の力投は、今までの渡邉の実績から考えれば、大きな仕事を成し遂げたと言える。持丸監督も「今日は渡邉に尽きます!!本当は5回まででしたが、あまりにもよかったので、6回も行かせましたが、やはり厳しかったかな」と苦笑いを浮かべながら、渡邉の快投を称えた。
6回は満塁のピンチで、打球がファンブルするなど、やや不運な当たりで点を取られる場面もあった。持丸監督は「変なはね方をしていましたよね。あれは捕るのは難しいですよ。ただ素晴らしかったのは、ショートの中山が焦って送球することなく、確実にアウトを1個アウトにする姿勢が見えたこと。ミスからミスを広げてはいけないというのを教えていましたが、それがしっかりとできていました」と苦しい場面になっても冷静にプレーができていることを評価した。
そして7回、3番・中山 凱内野手(2年)の四球、4番・吉田 慶剛捕手(3年)のヒットで無死一、二塁のチャンスを作る。持丸監督は「さすがですね。逆転できるチームになることを目指してきて、無死からチャンスを作れたのは大きかった」と主軸の働きを高く評価した。その後、敵失や2つのスクイズで一気に7対5で逆転に成功する。持丸監督はこのイニングの攻撃について、こう振り返った。
「同点ではなく、2点を入れて逆転に成功することが大事でした。相手投手の球威が想像していたより良かったので、外野フライでの得点は望めないと思い、スクイズにしました」。
2つ目のスクイズを決めた宮尾 日向内野手(3年)はチームで1、2を争う俊足。相手投手の力量、自チームの走力を把握して最善な決断に至った持丸監督の采配も素晴らしいが、冷静に難しい作戦を実行できた選手たちの判断力も素晴らしい。
専大松戸の野手たちが幾度の公式戦でくぐり抜けて、その経験を生かしているのが伝わった。
リリーフの青野 流果投手(3年)も粘り強い投球で強力な東海大甲府打線を抑え、勝利に貢献した。
夏の全国大会での1勝は限りなく厳しいものだが、それをもぎ取った専大松戸。あとはエース・平野が思う存分、実力を発揮するだけだ。