彦根工vs湖南農・甲南

彦根工が7回コールドで初戦突破！参考記録の完全試合はあと1人で逃す

＜第105回全国高校野球選手権滋賀大会：彦根工7ー0湖南農・甲南（7回コールド）＞◇8日◇1回戦◇マイネットスタジアム皇子山

昨夏8強の彦根工が7回コールドで初戦を突破した。

彦根工は1回、連打で無死二、三塁のチャンスを作ると、3番・宮本 大輝（3年）の二塁ゴロの間に1点を先制。さらに一、三塁から主将で4番の佐野 叶夢（3年）が左前適時打を放ち、さらに1点を加えた。

3回には2番・鈴木 悠真（3年）、宮本の連続適時二塁打などで4点を追加。4回にも2死二塁から宮本の適時内野安打で1点を加え、早くも7点のリードを奪った。

活発な上位打線で試合を優位に進めた彦根工だが、それ以上に光ったのが投手陣だ。先発の宮本は120キロ台前半ながらキレのある直球を武器に4回をパーフェクトピッチング。このまま完全試合の期待も高まったが、「宮本は最初から打者一巡と言っていました」（伊藤國彦監督）と5回からは継投策に入る。

2番手の三田 直人投手（3年）も緩急を上手く使った投球で2回をパーフェクトに抑えると、7回から登板した右横手投げの鈴木 悠投手も難なく2死を奪った。参考記録ながら7回完全試合リレーまであと1人となったが、ここから湖南農・甲南が意地を見せる。

3番の西村 太久蔵（甲南2年）が「3年生の中川（博貴・湖南農3年）さんに繋ぐ気持ちで打席に入りました」とチーム初安打となる中前安打で出塁すると、続く中川も死球で出塁し、一、二塁にチャンスを広げる。しかし、5番・星野 晃希（甲南2年）が二塁ゴロに倒れてゲームセット。7回コールドで彦根工が勝利を収めた。

あと1人で完全試合リレーを逃がし、「記録として残したかったですが、勝ちは勝ちなので、次、頑張りたいです」と捕手の佐野。伊藤監督は「守りから入って、攻撃に繋げるうちのパターンで試合ができたと思います。3年生がしっかり打てました」と試合を振り返った。

昨夏からレギュラーは総入れ替えとなり、秋、春と初戦敗退に終わっていた彦根工だが、「これが自信になれば、次も良い試合をさせて頂けると思います」と伊藤監督は次戦に期待を寄せていた。

敗れた湖南農・甲南はこの春から連合チームを結成。合同練習は週末しかできない中でもチームワークを深め、集大成の舞台で最後まで戦い切った。「他校と一緒に野球ができて、なかなかない経験をできたのは良い財産になったと思います」と話した主将の中川。秋以降は連合チームの再編があるかもしれないが、この縁は今後も途絶えることはないだろう。

取材＝馬場 遼