御所実vs橿原
伝統校の御所実が延長戦を制して3位を勝ち取る
最後のアウトを取って喜ぶ谷下明斗(御所実)
<春季高校野球奈良県大会:御所実12-8橿原(延長10回タイブレーク)>◇13日◇3位決定戦◇佐藤薬品スタジアム
春夏合わせて11回の甲子園出場回数を誇る古豪の御所実が、延長10回タイブレークの末に橿原を下して2年連続の3位となった。
御所実は最速141キロ右腕のエース・安田 星翔投手(3年)を先発に立てたが、本来の調子ではなく4回4失点で降板。5回を終えて3対4と追いかける展開となった。
流れが変わったのは6回、御所実が1死二、三塁のチャンスを作ると、主将の8番・山口 慎之介捕手(3年)に席が回る。「この大会で僕がずっと打線の足を引っ張ってしまっていたので、何とか助けようと思って打ちました」と1ボール1ストライクからのスライダーを捉えると打球は左翼芝生席へ。逆転3ラン本塁打となり、御所実が2点のリードを奪った。
しかし、その裏に3点を失って再逆転を許してしまう。8回には相手の失策で同点に追いついたが、その裏に2死
一、三塁から4番・下西 遼介投手(3年)に右前適時打を浴びて、またしても1点を追いかける展開となった。
9回の御所実の攻撃は簡単に2死となり、5番・山村 昂太朗外野手(3年)も弱い当たりの内野ゴロになるが、結果は二塁への内野安打で何とか望みをつなぐ。すると、2球目に盗塁を成功させて二塁に進塁。その直後に6番・片山 陽人(3年)の左前適時打で山村が生還し、土壇場で試合を振り出しに戻した。
その裏の守備では3番手の谷下 明斗投手(3年)が三者連続を奪う好投を披露。無死一、二塁のタイブレークから始まる延長戦に向けて勢いをつけた。
10回表の御所実は先頭の山口がバスターを試みるも一塁へのインフィールドフライでアウトになってしまう。だが、「一人のミスがあっても後ろに良いバッターがいるので、カバーしてくれる」(山口)というのが今年の御所実だ。続く奥田 翔真外野手(3年)が三塁方向に絶妙なバントを決めると、これが相手三塁手の悪送球を誘い、二塁走者が生還。その後も相手のミスに乗じた御所実がこの回に4点を奪った。
御所実はその裏の橿原の攻撃を無失点に抑え、12対8で勝利。厳しい試合をものにして3位を勝ち取った。
「甲子園に行くために、3位決定戦だとしてもここをしっかり勝ち切ることを心がけていました」と吉岡亮介監督。準決勝の智辯学園戦は1対8の7回コールド負けを喫したが、夏に向けて良い再スタートを切ることができた。1974年春以来の甲子園を目指す伝統校は夏の要注目校になるだろう。
(記事=馬場 遼)