試合レポート

科技高豊田vs吉良

2023.03.28

科技高豊田が、攻守に吉良を圧倒して2次トーナメント進出を決める

科技高豊田vs吉良 | 高校野球ドットコム
4イニングを無失点、きっちり投げ切った科技豊田・菅田君

<春季愛知高校野球大会西三河地区予選:科技高豊田13-1吉良(5回コールド)>◇27日◇敗者復活3回戦◇刈谷

 ここ2日続いた雨の影響で日程がずれ込んでしまった、愛知県の春季大会地区予選。西三河地区に限らず、球場確保の関係などで、日程がずれることによって試合会場も変更になっている。選手たちも予定していたところから変更となると、移動距離や移動手段の問題で調整も、また考えなくてはいけない。こうした細かい調整も含めて、学習事項と言えばそうかもしれない。

 科技高豊田は初回、昨秋は1番を背負っていたが、今大会は背番号20の先発・菅田投手が、前の試合で35点を奪った吉良打線を簡単に3人で退ける。そしてその裏、先頭の西村が中前打するとバント野選でチャンスを広げる。3番松井が左中間へ二塁打を放ち、たちまち2点先取。さらに四球後、5番若林が右越え3ランを放ち、科技高豊田は無死で5点を奪った。情熱の赤を基調とした科技高豊田のユニホームが躍動した初回の攻撃だった。

 しかし、吉良もすぐに反撃して2回、先頭の4番倉地が右越え三塁打すると、続く大山も一、二塁間をしぶとく破って1点を返す。吉良も、5点のビハインドに対しても、ひるまず積極的な攻撃だった。

 それでも、科技高豊田の勢いは止まらない。3回にも榊原と若林の連打で一、二塁とすると、バントの送球失策で追加点。さらに四死球などで塁が埋まると、吉良の佐藤将浩監督はたまらず、内藤投手を外野に下げて、外山投手を投入。その外山に対しても菅田、尾嶋が安打してこの回4点が入った。

 4回にも科技高豊田は相手失策などにも乗じてチャンスを広げていくと柘植、菅田と下位の連続長打に1番の西村の中前適時打などでさらに4点。そして、5回には2人目小峰投手、3人目左サイドの才木投手とつないで余裕の継投となった。

 科技高豊田は、PL学園~トヨタ自動車などで選手として実績を挙げた二葉祐貴監督が就任して以降、チームとしても着実に力をつけてきている。元気の良さには定評があったが、それがさらに地に足のついたものにもなってきたように思わせてくれる、この日の試合ぶりだった。

 二葉監督は、「元気がなくなったら、ウチのチームはどうしようもないですから(苦笑い)。前の試合で刈谷さんに負けたのは、個々の意識の差が出たので、そのことを徹底して言いました。そこから、もう一度気持ちを作り直していこうということでした。雨で日程がずれたことで少し時間があったので、それで多少は意識を作り直していくことができたのかもしれません。まだまだ、これからのチームですが、野球を通じての人間形成ということも大事な要素なので、個人の責任の大きさということは常に言っています」とチームとしての意識の大事さを伝えていた。

 学校としては、2年生になる段階で、工場実習に入るにあたって、安全指導などもあって、チームとしてはなかなか全体練習ができにくいというのも現実である。それでも、そういう形の学校だということで、与えられた環境の中でいかに工夫して取り組んでいくのかということも課題として過ごしている。

 吉良としては、立ち上がりから、いくらか試合の流れも悪く、それを修正しきれなかった。野手が難打球を好捕しても送球が乱れてしまったり、足を使って仕掛けていっても三振併殺になるなどということもあった。

 佐藤監督は、「最初に思わぬ形で失点してしまったことで、気持ちが落ちていったところはあったのかなあ。気持ちの問題も大きいので、これからは、そんな意識を作っていくこともやっていかないといけません。ウチあたりは、ここから夏へ向けてチームを作っていかないといけないので、これからです」と、夏へ向けて意識づくりの大事さを改めて選手たちにも伝えていきながらチームを立て直していくという思いだった。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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