駿台学園vs錦城学園
速いテンポの試合だったが、駿台学園打線が5回に爆発して錦城学園を突き放す
5回、駿台学園・内田が3点目のホームイン
<春季東京都高校野球大会:駿台学園7-4錦城学園>◇5日◇1回戦◇都営駒沢
ブロック予選では帝京八王子を下して進出してきた錦城学園と昨秋は都大会では桐朋を点の取り合いで下したものの、2回戦で日大三に敗退している駿台学園。一冬を越えて、チームの課題をどこまで修正してこられたのかを試す意味もある春季大会である。
この試合は、雨で2日間待たされた形になった。錦城学園の梅澤、駿台学園の背番号20をつけた八木が、ともに短いインターバルでポンポンと投げこんで行く。お互いに走者は出しているのだけれども、打線も何となく打たされている感じで、攻略しきれないまま4回まで0が並ぶ。ここまでわずか40分足らずだった。にもかかわらず、三者凡退の回は1度もなかった。そんなリズムの試合だった。
果たして、どちらがどういう形で得点を奪っていくのかなと思っていたが、試合は5回から動き始めた。
この回の錦城学園は、1死から7番瀬谷がストレートの四球で出ると、すかさず盗塁。さらに池田への2球目が暴投となり、その球がバックネットの角の一番深いところで止まってしまい、二塁から瀬谷は一気にホームインした。思わぬ形で錦城学園に先制点が入った。
しかし、その裏の駿台学園もすぐに反撃。7番渡邊が死球で出ると、すかさずバントで送り、1死二塁で代打石川が三角裕監督の起用に応えて三遊間をゴロで破る安打でチャンスを広げる。そして、二卵性双生児と言う關川兄弟の弟にあたる1番莉久が中越え三塁打して2人がかえって逆転。さらに、続く内田も左前打で三走をかえす。なおも、3番佐々木も三塁打で4点目。そして、關川兄弟の兄の夏生が中犠飛を放ちこの回5点のビックイニングで駿台学園は、一気に逆転して主導権を握った。
代打の関係で6回から駿台学園は横田がマウンドに上がり2イニングを抑える。そして7回には当たっている關川莉久がストレートの四球で出ると、内田が右前打で繋ぎ、暴投でさらに1点追加。1死後、關川夏生もこの日2本目の左越え二塁打を放って7点目。前半の展開からは思いもよらない展開になっていって、駿台学園はあわやコールドゲームという勢いになった。ここで、錦城学園の玉木信雄監督は、梅澤を下げて、二塁から、東野をマウンドに送り出した。三角監督も、「コールドを決められるときはコールドにしていきたい」という思いで、2死二塁で力のある代打中嶋を送り決めにかかったが、ここは東野が踏ん張った。
いいテンポで投げていた錦城学園・梅澤だったが
そして、錦城学園も8回に反撃。1番からの好打順で、先頭工藤が中越え二塁打すると、原のバントは悪送球を呼んで、工藤が生還。さらに、3番木内も左翼線に二塁打して二、三塁。たまらず、三角監督は3人目として桑島を送ったが、4番森田が中前打して2人をかえして、錦城学園は追い上げた。
しかし、ここからは桑島も落ち着いて、後続を何とか抑えていく。
こうして、前半のテンポの速い投手戦は後半思わぬ点の取り合いとなっていった。それでも試合そのものはスピーディーだった。結局、7対4というスコアながら、2時間かからない試合となった。
駿台学園・三角監督は、「2年生が多いチームなんだけれども、伸びしろはあると思っているので、こうやって試合を経験していくことで成長していかれそうで、面白いのではないかなと思っている」と、快勝したことで、チームとしても勢いがつきそうな気配も感じている様子だった。
コロナ禍で学校そのものがリモートになってしまい部活動は停止ということで、2月はほとんど練習ができなくなっていたという。それでも、3月になってそれも解除されて練習試合もほぼ予定していたものがこなせたということだった。センスがよくて能力の高い双子の關川兄弟など、今後の戦いではチームとしても面白い存在になっていきそうだ。
先制しながら、その裏にひっくり返されて自分たちの展開に持って行かれなかった錦城学園。玉木監督は、「梅澤は、打たれる分にはいいんですよ。ただ、得点された回は先頭打者に四死球でしょう。これを克服していかないといけませんね。四死球を出して、自分でイライラして、結果として投球が甘くなってしまって打たれていくということ。この克服が夏へ向けての一番の課題です」と、梅澤のメンタル面でのもう1つの成長を今後へ向けて期待していた。
(取材=手束 仁)