関東一vs早稲田実業

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関東一・成井颯

　関東一、早稲田実という強豪同士の対決に、試合開始前から雨が降り出す天候にもかかわらず、多くの観客が詰めかけた。

　関東一は成井颯、早稲田実は石島光騎と、ともにエースが先発。1、2回は両チームとも走者を出しながらも無得点に終わる。3回表関東一は、1回戦では先発投手も務めた1番の井坪陽生から始まる。石島が「緩急をつけるつもりで投げました」というカーブを、井坪はしっかり捉え、レフトオーバーフェンスの先制本塁打を放った。井坪は石島が、「1回、2回は変化球が多かったので」と語り、変化球も想定しての一発であった。

　追いかけたい早稲田実はその裏、安打2本を放ったが、二死一塁から一塁走者が3番・壽田悠毅の中前安打で三塁を狙ったが刺されるなど、得点につながらない。

　5回表関東一らしい攻撃で追加点を挙げる。一死後、前の打席で本塁打を放った1番・井坪が左前安打で出塁し、すかさず二盗。続く2番・柳瀬冬和が粘りに粘る。けれども石島も「粘り強く投げました」というように、3ボールになった後も、ストライクゾーンに投げ続ける。柳瀬相手の12球目。柳瀬が右前安打を放ち、井坪が生還した。「自信のあるストレートを打たれました」と石島。見ごたえのある対決であったが、柳瀬に軍配が上がった。ここで足の速い柳瀬が二盗を決めると、関東一の得点機会がまた広がる。柳瀬が二盗を狙ったが、ここは早稲田実の捕手・江崎大燿の好送球で刺した。柳瀬は早稲田実も当然警戒しており、備えていた。「一つ刺せたのは練習の成果です」と、現役の時は捕手だった早稲田実の和泉実監督は語る。

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東京成徳大高・須藤竜童

　次の得点をどちらが挙げるかで試合の流れが決まると考えた早稲田実は、6回表から先発の石島を外野に回し、斎藤士龍をマウンドに送る。しかしこの回関東一の4番・増尾己波が内野安打で出塁すると、5番・富岡大阿の犠打で二塁に進む。増尾が三盗を仕掛けると、捕手の三塁送球が暴投になり、増尾が生還した。まるで１、2番のような足を使った攻撃だが、関東一の米澤貴光監督は、「走れる子が多いので、4番は関係ありません。調子のいい子を並べています」と言う。

　とはいえ、足攻で取った1点は大きく、この回は、代打・田野裕真、9番・成井、1番・井坪の二塁打などで一挙4点を挙げて試合を決めた。
　関東一の成井は、球速はそれほどでもないが、球質の重そうな球を丁寧に投げて、早稲田実打線を被安打6で完封した。

　一方早稲田実も、6回途中から再度登板した石島が、追加点は与えず、結局６－０で関東一が勝利した。試合後、早稲田実の和泉監督は、「力不足は否めない。それでも全国的にもトップレベルのチームと、9回まで試合ができたのは財産です」と語る。日本ハムの斎藤佑樹は今季で引退するが、当時の記憶が鮮明なだけに、いささか寂しい気もするが、それが現実なのかもしれない。主将の壽田悠毅が利き手の指を骨折し、ようやく本大会には間に合ったものの、背番号10の一塁手で出場。戦力の核になる壽田の起用法を含め、チームをどう立て直すか。注目度の高いチームだけに、春以降の戦いを期待したい。

　関東一は、やはり強い。特に1番・井坪の存在は大きい。この試合は本塁打を含む4安打。夏はベンチ入りできなかったが、「スケールの大きい選手になってほしい」と、米澤監督の期待も大きい。他の選手も粒が揃っている。いよいよエンジンがかかってきた。3回戦は都立城東との下町対決になる。

（記事＝大島 裕史）

早稲田実3番・壽田悠毅

早稲田実・石島光騎

関東一2番・柳瀬冬和