大島vs鹿児島南
好リリーフが勝利引き寄せる・大島
大島・前山
序盤は互いに点を取り合った。
立ち上がり、鹿児島大島が4番・田尾樹珠紀(3年)のレフト前タイムリーで先制する。
鹿児島南は2回裏、8番・竹内優享(3年)がライト前に落ちるラッキーな2点タイムリー二塁打で逆転に成功した。
3回に田尾のタイムリーで同点に追いついた鹿児島大島は4回表、押出し、暴投、エラーで3点を勝ち越し、4番・田尾、5番・瀧文汰(3年)の連続タイムリーも飛び出し、打者10人で5点のビッグイニングを作った。
鹿児島南もその裏、1番・渡隼人(3年)のセンター前タイムリーとスクイズで3点差に詰め寄った。
5回以降は一転して両者無得点。鹿児島大島は再三チャンスを作りながら追加点ならず。鹿児島南は鹿児島大島の2番手・前山龍之助(2年)を打ちあぐね、3点差で鹿児島大島が逃げ切った。
鹿児島大島は2番手で登板した前山が5回以降を無失点で投げ抜き、勝利を手繰り寄せた。「夏に向けて自信になった」と力強く振り返った。
4回までに7点取ったが、走塁ミス、けん制タッチアウトなど拙攻で畳みかけられなかった。中盤以降も好機は再三作りながら追加点ならず、計14残塁を喫した。大黒柱のエース大野稼頭央(2年)は5四球と制球が定まらず4失点。投打ともに本来の持ち味を発揮しきれず、「自分たちで試合を難しくした」(塗木哲哉監督)重苦しさの漂う展開の中で、塗木監督は2年生右腕に5回以降を託した。
「早い回からブルペンで投げ込み、肩を作っていた」と前山。チームの浮沈を左右する重圧がかかるマウンドだったが「周りが守ってくれると信じ、自分が崩れても大野がまだ投げられる」と気負わずリラックスして自分らしい投球を心掛けた。
生命線はスライダー。カウントを稼ぐときはスピードを殺して曲がりを大きく、相手が変化球を狙っているときはスピードをつけ曲がりを小さくボールゾーンに。スライダーの緩急を巧みに使い分け、相手打線に的を絞らせなかった。9回まで5イニングを投げ、被安打3、8三振を奪い三塁を踏ませない上々の投球内容だった。
鹿児島大島が夏を勝ち上がるためには、大野に続く2番手投手の台頭が欠かせない。前山が重圧のかかる場面で好リリーフできたのは、チームにとっても貴重な財産になった。チームの期待に応えた前山は「強豪私学が相手でも使ってもらえるような信頼を得るために、もっと力をつけたい」と意欲を燃やしていた。
(取材=政 純一郎)