試合レポート

立教新座vs細田学園

2021.05.01

立教新座打線が細田学園の2枚看板を終盤捉え大逆転でベスト8へ

立教新座vs細田学園 | 高校野球ドットコム
立教新座先発・桶本頼

 県営大宮球場の第2試合はAシード・細田学園対打線が好調で勢いに乗る立教新座という昨年の新座市長杯決勝でも顔を合わせたこの2チームその時は大乱戦の末、細田学園が制しているそうだが今回はどうか。なお、細田学園の2回戦は星野高校が出場を辞退したことで不戦勝となり、実質この試合が大会初戦となる。実戦勘が戻っているかが試合の鍵となる。

 まずスタメンだが、立教新座は不動のスタメン、一方の細田学園も昨秋からメンバーはほぼ変わっていない。唯一7番に勝瀬玲也(3年)が入り、打順は昨秋の関東大会出場時から4,5番、8,9番が入れ替わっている。

 先発は細田学園がMAX141kmのエース松本悠希(3年)、一方の立教新座は前の試合で150球ほど投げたエース髙橋龍太郎(3年)ではなく、2年生右腕の桶本頼(2年)が登板し試合が始まる。

 試合は初回から動きを見せる。

 まず立教新座は1回表、細田学園・松本の立ち上がりを攻め、一死から2番・白金凌(3年)がセンター越え二塁打を放ち出塁すると、続く南木力斗(3年)がセンター前タイムリーを放ち1点を先制する。

 するとその裏、細田学園立教新座・桶本の立ち上がりを攻めたて、先頭の福垣太朗(3年)がファーストゴロエラーで出塁すると、続く苑田幸資(3年)もバントの構えを一切見せずセンター前ヒットを放ち無死一、二塁とする。細田学園はその後も強攻策を貫くが後続が凡退し二死一、二塁となる。ここで5番・吉野壮真(3年)がライト前タイムリーを放ち同点とすると、続く長久保佳敬(3年)もレフト前タイムリーを放ちあっさりと逆転してみせる。

 2回以降は両先発が立ち直り試合は一旦落ち着く。

 立教新座ベンチは3回で桶本を諦め、2番手に狩野をマウンドへ送る。狩野亮太(2年)も踏ん張り無失点で切り抜けると、6回からは満を持してエース高橋をマウンドへ送るがこの日は高橋がやや誤算であった。

 細田学園は6回裏、髙橋の代わり端を攻め、この回先頭の瀬戸尾侑宏(3年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く加藤海輝(3年)の所ですぐさま二盗を決める。加藤海も四球を選び無死一、二塁とすると5番・吉野がきっちりと送り一死二、三塁とする。二死後、代打・齋藤伶央(3年)がレフト線へタイムリー二塁打を放つと、続く野口謙伸(3年)もレフト前タイムリーを放つ。二走・木村優斗(3年)は本塁憤死するが、細田学園が4対1とし試合を有利に進める。

 細田学園は7回裏にもこの回先頭の松本がレフト前タイムリーを放ち出塁すると、続く福垣がきっちりと送り一死二塁とする。ここで2番・苑田がライト前タイムリーを放ち5対1とし試合の主導権を握る。



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豆を気にする松本(細田学園)

 一方、強打の立教新座打線に対し毎回三振を奪うなど快調に飛ばしていた細田学園・松本に異変が起きる。6回表終了時に豆を潰し、盛んに指を気にし始める。それでも7回は抑えるが、足も攣り始めた8回表突如乱れる。

 立教新座は8回表、一死後1番・横山大悟(3年)が右中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く白金もレフト前ヒットを放ち一死一、三塁とする。さらに3番・南木が四球を選び一死満塁とチャンスを広げると、続く金子永(2年)のサードゴロがタイムリーエラーとなりまず1点、5番・佐藤駿(2年)が押し出しの四球を選び5対3とすると、代打・宇畑直斗(2年)がレフト前タイムリーを放ち1点とし細田学園・松本をマウンドから引きずり降ろす。代わった2番手・飯吉陽来(3年)に対しても、7番・浅見龍彦(2年)が押し出しの四球を選びついに5対5の同点に追いつく。後続は凡退するが、流れは一気に立教新座に傾き始める。

 そして最終回、立教新座は先頭の横山がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く白金の所ですぐさま二盗を決める。一死後3番・南木がライト越えのタイムリー三塁打を放ちついに逆転するとそこから一気に畳みかける。続く金子が右中間へタイムリー三塁打を放つと、5番・佐藤がレフトスタンドへ対外試合初の2ラン本塁打を放ち4点差をつける。続く宇畑が死球で出塁すると、続く浅見がライト前ヒットを放つ。さらに相手エラーで一死満塁とすると、二死後1番・横山がライト越えの2点タイムリー二塁打を放つ。さらに続く白金のファーストゴロが2点タイムリーエラーとなるなど結局この回一挙8点を奪うビックイニングを作り13対5とし試合の大勢は決した。

 結局立教新座の4番手・三宅義人(3年)がその裏の細田学園の反撃を1点で抑え、13対6で立教新座が大逆転で細田学園を下しベスト8へ進出した。

 まず細田学園だが、試合勘の部分は問題なく持ち味である機動力も発揮しゲーム終盤までは快勝ペースであった。それだけにこの日エース松本が突如乱れたことは誤算であろう。松本は試合後、
「流れの怖さを知った試合です。豆が潰れた後はテーピングなどで7回はどうにか乗り切ったんですが…。投げ込みスタミナ不足です」
と反省し夏に向けての再起を誓ったが、飯吉が完全攻略されたことも夏へ向けての不安材料となった。この2投手以外の投手陣の整備も含め、投手力が上位進出への鍵となるであろう。

 一方の立教新座だが、打線は今大会好調を維持し4番で元日本ハム所属金子誠氏の長男・永(侍ジャパンU-15代表)を中心とし、上位打線は横山、白金、南木、金子とどの選手も5割近い打率をマークしている。この日は金子の後を打つ佐藤にも一発が出るなど、細田学園の2枚看板、特に昨秋花咲徳栄戦で好投した遅い球を巧みに操る飯吉を完膚なきまでに叩きのめした。飯吉は新座市長杯で既に攻略していたそうだが、何より両投手の球筋を既に見ていたことがこの試合のアドバンテージになったであろう。だが、ベスト8は連戦で相手は強豪・上尾である。エース高橋にやや疲労の色が見えるだけにベスト8も小刻みな継投となるはずだ。上尾戦は投手陣が鍵を握るであろう。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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