具志川商vs八戸西
甲子園初勝利を呼び込んだ144キロ右腕・新川俊介(具志川商)が想像以上のテクニシャンだった!
新川俊介
21世紀枠同士の対決となった具志川商対八戸西。この一戦は両チームともにプロ注目投手を擁することで、好カードの1つに数えられたが、試合は具志川商優勢で試合が進む流れとなった。
2回に下位打線の連打で4得点を上げることに成功した具志川商は4回、1番・大城 勢武太のスクイズで5点目を奪うことに成功。その後も着実に点数を重ねて6対0とした7回に八戸西に2点返されたが、直後の攻撃で相手のミスなどで2点を取り返し勝負あり。8対3で具志川商が八戸西を下した。
2001年に宜野座がセンバツでベスト4になって以来となる沖縄県勢の21世紀枠初出場初勝利だ。勝利の瞬間、選手たちの活躍を見に来た具志川商側のアルプススタンドからは拍手がわいた。
その立役者は「今日は80点くらいです。高めに変化球が打たれましたし」といいながらも2失点以内に抑えるという自身の目標クリアには評価していた。身長180センチの長身を活かした角度を付けた真っすぐは最速144キロを計測する具志川商・新川俊介である。
相手は同じく21世紀枠で出場した八戸西。エースは189センチの本格派右腕・福島蓮。戦前より注目集まっていた一戦であり、同じ長身投手として投げ合いが繰り広げられる中で、新川が見せた福島との違いは多彩な高速変化球を使ったな投球術だった。
新川が八戸西戦で投じた球種は以下の6つだ。
・ストレート
・カーブ
・スライダー
・スプリット
・ナックルカーブ
・ツーシーム
これらを使い新川の投球は八戸西打線に攻撃の隙を与えなかったが、このスタイル確立は一冬かけてのものだった。
「冬場や甲子園に行く直前から使うようになりましたが、最初はスライダーとカーブだけでは的が絞られやすいので、球種を増やすことで対応させないようにしました」
7回を投げて被安打4、与四死球5つと安定した投球が光り、チームにリズムをもたらしたが、対戦した八戸西サイドは新川の投球をどう感じていたのか。
「ストレートも速くて力もありますが、スライダー系の大きく曲がる変化球も切れがあって大変でした」(八戸西・桐山大空)
「想像以上に良くてそんなに点数が取れないと思っていました。ただボールははっきりしていたので、真っすぐとスライダーと速いボールで攻めてきたのでどんどん振るように指示を出しました」(八戸西・小川監督)
最速144キロを誇る直球はもちろん、変化球の威力も八戸西には脅威となっていた。
宜野座が達成した21世紀枠としてベスト8の記録に挑む具志川商。昨秋から続く快進撃をどこまで続けていくのか。新川の投球とともに注目だ。
(取材=田中裕毅)