中京大中京vs誉
しっかりと繋ぐ野球で中京大中京が得点を重ねて誉を突き放す
8回を投げて、12三振を奪った中京大中京・畔柳君
昨秋の県大会、東海地区大会優勝で、その後の明治神宮大会も優勝。コロナ禍で中止になってしまった夏の選手権の代替え大会としての夏季大会とセンバツ代表校の交流試合も含めて、旧チームは公式戦全勝で終えた中京大中京。しかし、新チームは名古屋地区大会の二次決勝トーナメントでは1回戦で屈した。そこから立て直しての県大会は1回戦で名古屋国際を下し、2回戦では名古屋地区大会で敗れた星城に雪辱。そして、西三河地区2位でシードの愛産大三河も下してベスト8に進出してきたのはさすがである。
メンバーは夏からすべて入れ替わった中で、エースの畔柳君は140キロ超のストレートを武器としているということで注目が集まっている。
これに対する誉は、昨夏には準決勝で中京大中京を下すなどして悲願の甲子園初出場を果たしている。そうして新しい伝統を築いた尾張地区の新鋭とも言える存在になっている。この夏の大会では4回戦で愛知黎明に敗れたが、新チームの秋季大会尾張地区予選では順調に上位4校に残って進出してきた。県大会でも3回戦で昨夏の愛知大会決勝の相手となった桜丘を返り討ちにしての準々決勝。今度は昨夏の準決勝の相手、中京大中京ということになった。
そういう意味では、注目のカードと言ってもいいであろう。
中京大中京の畔柳君は立ち上がりから5人連続三振という好調な立ち上がり。伸びのあるストレートとストライクを先行させていく投球リズムの良さもあって、ポンポンと追い込んでいく。こうして畔柳君が抑えている間に3回、中京大中京は3点を先取する。
この回先頭の畔柳君か死球で出るとバントできっちり送り、捕手のわずかな落球を突いて三塁へ進む。ここで細江君が中前手クリーンヒットして先制。さらにバントが失策となり一、二塁。捕逸で進塁後に3番・桑垣君が左翼線へポトリと落としこれが二塁打となって2者が帰ってこの回3点。4回にも二死三塁から9番・満田君がしぶとく三遊間を破って4点目を奪った。
誉は5回に藤垣君、川上君に8番の川嵜君と3本の安打で1点を返し、なおも一死一、三塁の場面で、スクイズか飛球で併殺となりチャンスを逸した。誉としては、結果的にはこの逸機が痛かった。7回も4番・小椋君と藤垣君の連打でチャンスを作り、送球ミスもあって1点が入ったものの、8回中京大中京は満田君のバント安打を含めて4連打もあって、5点を奪って大きく突き放した。中京大中京の1番・細江君はこの試合では5打数5安打2得点とリードオフマンとしての役割を十分に果たしていた。
畔柳君は8回で12奪三振。最速147キロとも言われているストレートはかなりの力があった。ただ、さすがに2巡して以降は、ストレートにタイミングを合わされると力のある誉打線の中軸に捉えられた。ことに、5番・藤垣君は振り負けずに2安打していた。
公式戦負け知らずで終えた前チームを受けてスタートしたこのチーム。高橋源一郎監督は、「ボクは前のチームと比べてどうのこうのということは、いつも言ったことはありません。ただ、今回は先輩たちがいいものを残してくれたので、自分たちの力を見定めて、どういう野球をやっていったらいいのかということを理解して対応してくれていると思います。繋ぎの野球をしっかりやれてくれていいます」と、今年のチームの対応力の高さと伸びしろには大いに期待を寄せている様子だった。
誉の川嵜君は力強い球もあるのだけれども、ストライクとボール球がはっきりしているというところもあり、そこを緻密な中京大中京にしっかりと見極められたというところもあったであろうか。そのあたりの精度を高めていかれれば、さらにひと波乱起こしていかれる存在になりそうである。
(取材=手束 仁)