北本vs伊奈学園
1年生左腕・小櫃2安打無失点、北本がコールドで県大会進出
1年生左腕・小櫃
雨模様の[stadium]上尾市民球場[/stadium]、北部地区は無事に試合が行えるか不安な天候であったが砂入れなどをし、第一試合の北本対伊奈学園総合は予定時刻から43分遅らせて無事に開催にこぎ着けた。なお、2試合目の上尾対栄北戦は1回終了後、降雨ノーゲーム、3試合目の早大本庄対国際学院戦は中止となり順延となった。
伊奈学園総合は今夏もスタメンで出場していた清川大樹(2年)が3番、菊池武瑠(2年)が4番に座る布陣、新チームになりポジションも今夏レフトであった清川がファースト、サードであった菊池はショートへと変更している。
一方の北本は今夏3年生中心で戦う方針であったため、1、2年生は途中出場のみであった。
先発は伊奈学園総合が、今夏登板経験もある背番号10右腕の本木颯人(2年)、一方の北本も今夏登板経験のある1年生の変則左腕、背番号10の小櫃辰也が先発し試合が始まる。共に前の試合コールドで勝ち上がり勢いに乗るが、試合は意外な展開となった。
試合は初回から動く。
1回表北本は、伊奈学園総合・本木の立ち上がりを攻め、二死から3番・坂巻風太(2年)が死球で出塁すると、続く小林大介(2年)がセンター越えのタイムリー三塁打を放ちまず1点、さらに5番・菅野直洋(2年)がセンター前タイムリーを放ち幸先良く2点を先行する。
北本はさらに4回表にもこの回先頭の小林大がレフト越えの長打を放つと相手の中継が乱れる間に一気に三塁を陥れる(記録は三塁打)。
一方これ以上のビハインドは背負いたくない伊奈学園総合ベンチはここで先発・本木を諦めエースの渡邉優輝(2年)へとスイッチする。渡邉は相手のスクイズ見逃しなど拙い攻めにも助けられた形だが、後続を抑え無死三塁のピンチを無失点で切り抜ける。
伊奈学園総合・本木颯人
だが、北本は5回表、今度は相手の守備の乱れに乗じ伊奈学園総合のエース渡邊に襲い掛かる。
この回先頭の横山翔太(2年)がレフト線への二塁打を放ち出塁すると、続く高鷲優太郎(2年)がサード前へきっちりと送る。この打球が相手の悪送球を呼び貴重な追加点を奪う。
これで勢いに乗った北本は、さらに無死二塁から9番・小櫃がきっちりと送り一死三塁とすると、続く小林倖輝(2年)がライト線へヒット性の打球を放つ。この打球にライトが飛びつくも一歩及ばずタイムリー三塁打となり4点差をつけると、さらに2番・大澤陸斗(2年)の打球はライトフライを放つ。
犠飛に飛距離は十分な打球であったが三走・小林倖はなぜかハーフウェーまで飛び出し自重することとなりやや嫌な雰囲気が北本ベンチに漂う。それでも続く坂巻がレフト前へタイムリーを放ち小林倖をフォローするような形で5点差をつけ試合の流れを完全に掴んだ。
北本は7回表にも3番手・佐藤慎(2年)を攻め、一死から1番・小林倖がレフト線へ二塁打を放つと、2番・大澤、3番・坂巻が連続四死球を選び一死満塁とチャンスを広げる。最後は4番・小林大がセンター前へ2点タイムリーを放ち7点差をつけコールドペースへ持ち込む。
投げては先発小櫃が伊奈学園総合打線を僅か2安打無失点に抑える好投を見せる。結局北本が7回コールドで伊奈学園総合を下し県大会へ駒を進めた。
マウンドに集まる北本ナイン
まずは北本だが、前の試合今夏コールド負けを喫した秀明英光相手にコールドでリベンジするなど、打線は小林倖と小林大を中心に長打5本を含む9安打と好調を維持している。だが、この日はとにかく小櫃に尽きるであろう。
サイド気味のリリースポイントからややインステップ気味に投球し、直球は目測でMAX130km前半程だがキレがあり、変化球の曲がりも大きい。さらにテンポも良く、この日も3つ刺すなど牽制もうまい。1年生ながら完成度が高く平常時の投球ができれば変則であるだけに強豪私学が相手でも十分に通用するであろう。
あとは柿原監督も指摘していたが一冬を越しスタミナ面が克服できれば面白い投手になりそうだ。とはいえ、エース菅野も控えており、いつでも継投は可能だ。あとはこの日起こったサインミスや走塁ミスの部分を修正すれば、元々投打の状態も良いだけに勢いに乗れば県大会でも台風の目になりそうだ。
一方の伊奈学園総合は、打線は2安打に抑えられ、牽制死も3回とやや良い所がなかった。とはいえ、夏も述べたが、4月に五十嵐・冨澤体制になったばかりであり、監督がやりたいことを選手達が体現するようになるにはまだまだ時間が足りない。
長い秋冬となりそうだが、経験豊富な五十嵐・冨澤両氏であるだけにまずはコミュニケーションを取ることに時間を費やし、きっちりと春以降には違う姿を見せてくれるであろう。
(記事=南 英博)