試合レポート

早稲田実業vs八王子

2020.07.27

本塁打6本が飛び出す乱打戦!早稲田実と八王子の最注目カードは早稲田実に軍配!

早稲田実業vs八王子 | 高校野球ドットコム
先発・溝口雄大(八王子)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 2018年以来となる早稲田実業vs八王子の一戦。新聞、テレビを含めた報道陣の多さから見ても、この試合はかなりの注目度が高い試合であることがうかがえる。1試合を終えて、両校の選手は能力が非常に高く、まさに1回戦では勿体ないカードだった。

 八王子の先発は溝口雄大。左腕から投げ込む直球は常時130キロ中盤(最速138キロ)だが、回転数の高い速で特に内角に決まる直球の勢いが素晴らしい。

 次々と早稲田実業打線を押し込む勢いがある。

 早稲田実業の先発・田和廉(2年)も。来年の西東京を代表する右腕になりそうな逸材。ノーワインドアップから始動し、ゆったりと左足を挙げて、まるで徳山壮磨のようなステップから踏み出し、低いリリースポイントで投じるのが特徴。常時130キロ中盤~135キロの直球は威力があり、120キロ前後のスライダーの切れ味も鋭い。

 試合は1回裏から動き、1番髙橋優太(3年)はライトへ二塁打を放つと、3番が内角に決まった138キロのストレートを右前安打そして5番栗林大知(3年)がレフトへ2ランを放ち、、3点を先制する。

 だが早稲田実業も3回表、強打の1番打者・北村がレフトへ本塁打を放った。北村は経験豊富な巧打の二塁手で、余計な反動を使うことなく、最短で最速でレベルスイングができる選手。それほど体が大きいわけではないが、遠くへ飛ばすことができる。

 そして4回表、4番清宮福太郎が甘く入った変化球をとらえた打球はレフトポール際の特大本塁打となり、1点差に迫る本塁打となった。清宮はこれで高校通算8本塁打目。

 5回までは両投手が持ち味を発揮。八王子の溝口は「強気にインコースへ攻めていきました」と語るように、右打者へ130キロ中盤の速球を内角へ強気に投げ込み、スライダー、カーブ、チェンジアップを低めに投じ、打たせてとる投球。

 また早稲田実業の田和は2回以降、曲がりが小さい鋭いスライダーを低めに投げ分け、ストレートも外角へ厳しく投げ込むなどコマンド力も高まり、5回まで2失点の力投を見せた。


早稲田実業vs八王子 | 高校野球ドットコム
本塁打を放つ北村広輝(早稲田実業)

 また6回以降は大きく試合が動く。早稲田実業のは背番号1の菊池 笙太郎(3年)。1年秋から経験を積んでいる右のオーバーハンドで、真上から振り下ろすフォームが特徴的。先発の田和と比較すると、縦の角度を生かして投げるが、軸がぶれて、リリースポイントを乱した時にばらついてしまうのが課題。とはいえ、常時135キロ~140キロ(最速142キロ)の速球は威力抜群で、125キロ前後の高速スライダーの切れも良い。

 しかし7回裏、八王子の3番・吉井 皓紀がレフトへ二塁打を放ち、2点を勝ち越す。吉井はこれで3安打目。なんといっても素晴らしいのが速球投手にも振り遅れず、自分の打撃ができること。重心を低くして、バットを寝かせ気味に構え、最短距離で振り抜く左の巧打者。内外角にしっかりと対応し、打ち分けができるバットコントロールの高さは魅力。十分に大学球界でも活躍できそうな技術を持った選手といえそうだ。

 8回表、早稲田実業は本塁打攻勢で追いつく。2番梅村大和の2ランで1点差に追いつくと、3番宇野の本塁打でついに同点に追いつく。

 8回裏、八王子は相手のエラーでチャンスを作り、犠飛で勝ち越しに成功する。

 しかし9回表、早稲田実業が意地を見せて、二死から代打・清水将仁の適時打で同点に追いつき、そして3回表に本塁打を放っている北村に打席が回った。北村は溝口の内角攻めを読み切り、捉えた打球は勝ち越しの2ラン本塁打。これで高校通算14本塁打目となった。ドラフト候補というタイプではないが、高い打撃技術に堅実性の高い二塁守備。西東京でも指折りの二塁手といえそうだ。

 そして四番手の宇野が最速138キロのストレートと120キロ前半のスライダーを丁寧に投げ分け、粘る八王子打線を振り切り、今年のチームになって初の公式戦は逆転勝利を飾り、2回戦へ進出した。

 早稲田実業は1人1人の選手の能力が高く、やはり全国レベルのチームという印象を受けた。ただ実戦感覚が空いていたからか、カバーリングなど細かい連携という部分で課題がある。今年の早稲田実業の戦力は改めて別の機会で紹介をしていきたい。

 敗れた八王子は守備力そのものは早稲田実業を上回るチームであり、八王子の安藤監督によると、今年は練習試合の数が圧倒的に少なく、自慢の機動力を生み出すエンドラン、盗塁の精度を磨くことができず、犠打でつなぐオーソドックスな攻めだったが、選手の集中力が感じられ、攻め方も上手いチームだった。安藤監督は「今年はいろいろなことがありましたので、まずは夏の試合ができることに感謝していますし、選手たちはしっかりと戦ってくれたと思います」と選手たちの奮闘をたたえていた。

記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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