試合レポート

成章vs蒲郡

2020.07.12

成章が2安打完封勝利、蒲郡投手陣も好投で好守も相次ぎナイスゲーム

成章vs蒲郡 | 高校野球ドットコム
勝利の報告をする成章の選手たち

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 今大会、愛知県は5地区のブロックに分かれているのだけれども、折からの週末を襲う悪天候で、当初予定していた日程は崩れて、地区ブロックを越えて日程を組むことも余儀なくされてしまった。ということで、東三河勢対決なのだが、西三河地区の[stadium]刈谷球場[/stadium]で行われることとなった。

 近年のOBということで言えば、成章はヤクルトの小川泰弘投手、蒲郡はソフトバンクの千賀滉大投手というそれぞれプロ野球の柱となる投手を輩出している。そんな要素でも、注目したい試合でもあった。

 実は成章の河合邦宗監督と蒲郡の高井耕志監督とは先輩後輩の間柄。しかも、河合監督が母校に教育実習へ行った際に、当時成章の高校生だったのが高井監督だ。それだけに、「負けられん試合」という思いはどちらも同じかもしれない。

 成章の先発の鈴子海宇翔君は身長がさほどあるわけではないがオーソドックスな本格派。タテのスライダーを一番の武器に、タテ系の変化を持ち味としている。蒲郡の中田君は182cmだが、右サイドハンドで横の揺さぶりを持ち味としている。こうしたタイプの異なる両投手が、まずは無難な立ち上がりを見せて試合は始まった。

 いい感じの投手戦は速いテンポで続いていった。2回に両チーム通じて初安打を放った成章が、若干押し気味かなという印象だったが、ほぼ互角の前半戦。5回を終わって蒲郡は1安打、成章は4安打だった。

 均衡を破ったのは成章で6回、一死から原岡君が死球で出ると、内野ゴロの間に二塁へ進むが、この川合君の打球も三遊間深いところで、遊撃の大木君が好捕して好送球で一塁で刺してのものだった。二死二塁となったが、成章は5番山田君が思い切りよくスイングして右前へ運んで二走の原岡君が帰って先制点が入った。

 さらに7回は鮮やかだった。二死走者なしから「アイツは曲者なんで、面白いんですよ」と河合監督も認める9番伊藤君が内野安打で出ると、すかさず二塁盗塁。走るぞと見せかけて、それを分からせた上でもしっかりと走ってセーフとして相手にダメージを与える。そこで、1番村田君はファウルで粘りながら左前へ持って行って俊足伊藤君は二塁からホームへ走り込んだ。試合展開からしても、貴重な2点目となった。

 結局、このリードを鈴木海宇翔君が最後まで自分のリズムを崩すことなく蒲郡打線を0に抑え込んだ。

 こうして成章は完封勝利で、ナイスゲームかと思われたが成章の河合監督はいささか厳しく捉えていた。よかったところもあったけれども、反省点もいくつかあったということを指摘していた。「一番の反省点としては、一点取ったすぐ後の回の守りで先頭打者に対しての四球ですね。それと9回、一死を取った後に2番打者にストレートの四球。こういうところは直していかないといかん」ということである。

 それでも、「この試合はとにかくベストメンバーで行くぞと。だから、背番号は二ケタかもしれんけれども、2年生のスタメン出場が何人かある。これは、去年のリベンジという意味もあるし、そう簡単に初戦では負けなられないという意識もあるから」ということで、ミーティングを重ねて選手たちとも意識を確認し合った。今大会、背番号は1~12まで、3年生全員に与えるけれども、試合の先発メンバーはその限りではないという意識だった。そして、それで挑んだ初戦、全員が気持ちも集中して、無失点でもあり総じていい戦いだったと言っていいであろう。

 チームとしてのまとまりの良さも示して、成章としては快勝といっていいであろう。

 それにしても、十分な練習を積んでこれなかったであろうと思われるが、どちらも守りに好プレーが相次いだ。風も強かったけれども、外野手はスタートがよく、蒲郡の太田君、成章の村田君の中堅手はポトリと落ちそうな打球に突っ込んで好捕したり、抜けたら長打という打球を背走してキャッチするなど相次いでいいプレーが出ていた。内野陣も、大きな崩れもなく、しっかりとした捕球と送球で、短期間だけれども、しっかり整えてきたのだということをしっかり披露してくれた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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