関東一vs都立大島(派遣:都立東大和)
関東一、3発16得点で都立大島・荒田を攻略!
先発・荒田(都立大島)
1日延びた関東一vs都立大島の一戦。この試合の注目度が上がったのは、都立大島の荒田 奏斗の存在があるだろう。この夏の東東京大会で最速138キロを計測し、4回戦進出。4番を打ち、そして主将。まさにチームの大黒柱である。関東一・米澤貴光監督も荒田を警戒していた。
「夏も経験していましたし、力のある球を投げる投手でしたので、簡単に打てないぞということはずっと伝えていました。1回戦後の1週間は彼を打つために練習をしてきました」
荒田攻略に燃えてきた関東一打線は、その成果を発揮する。
今日の荒田は夏に比べて状態は良くない。右スリークォーターから繰り出すストレートの最速は132キロ。ほとんどが125キロ~130キロとスピードは出ていない。スライダー、カーブを投げてしのいでいた。そこを関東一打線は見逃せない。
1番大久保は左へ安打を放ち、その後、一死二塁から3番平川嶺の左前安打とレフトの失策で1点を先制。その後、失策が絡み、打者9人で6得点。2回表には4番平泉遼馬の3ラン、6番野口洋介の2ラン。3回表には3番平川の3ランと長打攻勢で14対0と大量リード。関東一打線は体が大きい選手がいるわけではないが、技術力が高い選手が多く、速球、変化球に対してもしっかりと対応ができる。
本塁打を打った野口(関東一)
特に良いのは3番平川と5番渋谷。平川は内回りのスイング軌道で広角に打ち分ける左の好打者。また渋谷は強肩が光るショート。打球反応はよく、グラブさばきは安定しており、右、左に打球を対応し、確実に裁くことができる安定性のある捕球技術は素晴らしい。また三遊間の深い位置からでもダイレクトスローできる強肩が光った。また広角に打ち分ける打撃も光り、渋谷曰く「僕は常に逆方向を狙っている」というように、逆方向でも鋭い打球を打ち返すことができる。打撃フォームを見ても無駄がなく、高いレベルでも活躍できる選手だ。
関東一打線は5回まで16得点の猛攻。5回コールド勝ちを見せた。
米澤監督は「今日の荒田君はあまり調子が良くなかったと思います。それでも、うちの打線が甘く入ったところをしっかりととらえることができたのはよかったと思います」と打線の活躍を評価。主将の渋谷は「3番、4番は調子が上がっていて頼もしいです」と笑顔を見せた。
関東一は背番号1の谷幸之助、今村、土屋の3投手の継投リレーで5回コールド勝ちを収めた。
米澤監督は「まだ手探りのチームですが、今年のチームの特徴は自分たちが力がないことを理解しているので、こちらの要求に対して理解度が速いので、今のところチーム作りは進んでいます」と手探りながらもチームとして前進しているようだ。主将の渋谷も「去年の先輩たちのように僕たちは力がないので、チームを1つにして、また守りを大事にして戦っていきたい」と、どう戦えばいいか理解しているようだ。
都大会へ向けて渋谷は「都立日野、都立大島も手ごわいチームでしたけど、都大会になればもっと力のあるチームと対戦するので、さらにチームを1つにして頑張っていきたい」と決意を述べた。
都立大島ナイン
都立大島は6失策したように、基本的にボールを捕って、投げる能力が欠けているところがある。荒田は15失点を喫したが、エラーがなければ失点はかなり防ぐことができていた。大黒柱の力を発揮させるにはナインの守備力が不可欠。派遣部員を除くと、部員は7人と人数は少ない。それでも何ができるか。
また荒田もピッチング自体は夏と比べるとよくなかった。1人しかいないということもあってコンディショニングも万全ではなかったのだろう。ただ関東一打線を体験したものは大きかった。荒田はいう。
「途中からどこに投げていけばいいのかわからなくなって…。どこでも打てるというぐらい雰囲気が関東一打線にありました。本当に力の差を感じましたし、一から頑張っていきたい」とレベルアップを誓った。
都立大島の天野監督は「夏はかなり守備練習をやってきたのですが、今日はかなり乱れてしまいました、また、捕手の佐藤もまだ経験が足らないので、春までかなり鍛えていかなければなりません」
ディフェンス力向上を課題に掲げていた。
この悔しさを糧に来春、都立大島はどんな成長を見せるのか、楽しみでならない。
(文=河嶋 宗一)