都立淵江vs都立調布北
終始自分たちの流れで試合を運んだ都立淵江が調布北の反撃を抑え快勝
和田 翔騎（都立淵江）
胸文字の表記こそローマ字の「ＦＵＣＨＩＥ」と漢字の縦書きで「調布北」の違いがあるが、同じような色合いの縦じまのユニフォーム同士の対決。ユニフォームだけではなく、投手を軸にして何とか凌ぎながら、活路を見出していくというチームとしての戦い方もよく似ていた。それだけに、先制点を含めて、どちらがどういう形で点を取っていくのかということが、そのまま試合点か手の流れを掴んでいくのではないかと思われた。
そんな試合は前半に、都立淵江が細かく得点していき優位に立った。
まず初回、都立淵江は失策と死球で無死一二塁として、3番滝君の右前打であっさりと先制。あまりにも鮮やかな得点だったが、都立調布北の左腕尾崎君も慌てなかったその後の3人をきっちりと押さえて試合を崩さなかった。
しかし、3回も都立淵江は滝君の盗塁と悪送球で得た二死三塁から、4番住吉君の叩きつけた三遊間を破る安打で追加点。そして5回は、二死走者なしから3番滝君が風の幸運もあって2塁手横へ飛球の安打。盗塁と四球で一二塁として、佐藤風我君の一打は外野手の失策を呼んで2者が帰って貴重な2点が追加された。さらに、７回にも都立淵江は滝君が三塁打で出ると住吉君が中犠飛で帰すという形で５点目を奪った。
住吉君は174cm84kgと身体の横幅が大きいが、案外器用にバットコントロールできていた。好機に力まず、素直にバットを出して行けたことで呼び込んだ犠飛でもあった。
そしてここまで、都立淵江の先発戸田君は自分のリズムで投げて、走者を出しながらも、ここぞというところではしっかりと抑えて無失点だった。ただ、7回の攻撃で自身が三塁打したのはいいが、そこで滑り込んだ際にどこか負荷がかかったのか、足を攣ってしまうアクシデントもあって、その裏こそ何とか凌いだものの8回からマウンドを左翼の石賀君と交代した。もっとも、石賀君は夏にはエースナンバーを背負っていた実績もある投手だ。マウンド経験も豊富である。
ところが都立調布北は、その8回に反撃をする。一死後8番尾崎君が四球を選ぶと渡辺君も中前へはじき返して一二塁。1番へ戻って長岡君が左越二塁打して１点を返す。さらに、失策もあってこの回2点。都立調布北としても「押せ押せ」のムードになってきた。それでも、そこから石賀君か頑張って力勝負で、相手クリーンアップを内野飛球で打ち取っていった。9回も3者凡退で退けて、先制～中押し、ダメ押しの展開で都立淵江は継投で逃げ切った形となった。
都立淵江の茶川剛史監督は、「選手個々の能力は、上がってきているとは思うんですけれども、選手たちはなかなか自信を持てなくて…。もっと、自信を持ってもいいと思うんですけれども」と、思いを述べながらも、「7回まで0に抑えられたのは大きい」と、和田君の好投は高く評価していた。茶川監督自身、2001年夏には都立城東の主将としてチームを甲子園に導くことが出来たという成功体験もある。そうした思いを伝えつつも、監督就任4年目となって、チームとしてもある程度定着してきたことも実感している。いよいよ、次の飛躍を目指したいところでもある。
（文＝手束 仁）
