明徳義塾vs生光学園
「怪物対決」で生光学園・湯浅 麗斗が学んだこと
4回裏生光学園無死二塁から4番・湯浅 麗斗(2年・左翼手)が空振り三振に倒れる
夏の甲子園での奮闘を上昇カーブにつなげ、秋季高知県大会決勝戦・高知戦(試合レポート)で自己最速145キロをマークした明徳義塾の右サイド・市川 悠太(2年・投手・184センチ73キロ・右投右打・高知市立潮江中出身)。
50メートル走6秒0・遠投100メートルを越える強肩。加えて前日の1回戦・小松(愛媛)戦では徳島県勢の春秋四国大会連敗記録を「16」で止める殊勲功の高校通算29号逆転2ランを放った明生光学園の4番・湯浅 麗斗(2年・左翼手・187センチ85キロ・右投右打・明生光学園中<ヤングリーグ>出身)。
2017~2018の四国高校野球を代表する2人の「怪物対決」は市川、というより明徳義塾の圧勝で終わった。
試合前「ウチがきっちりした野球をせないかん」と四国高校野球盟主の責任感をにじませた馬淵 史郎監督の下、明徳義塾は3回までに6四球・5死球に長打5本を含む7安打を絡めて11得点を奪い完全に試合を決めた。一方、「プレッシャーをかけられて何もさせてもらえなかった」と河野 雅矢監督も振り返ったように、明生光学園に与えられた攻撃機会は5回。4番・湯浅に与えられた打席も2打席のみとなった。
2回裏先頭打者での1打席目は初球で死球により出塁。二盗を決めて俊足の一端は見せた湯浅。ただ、2打席目は市川に翻弄された。1ボール後、3球続けファウルで詰まらされた後、「徳島県の投手にはなかなかない低めギリギリのところに来たスライダー」で空振り三振。「力の差を感じた」強面の湯浅もここは兜を脱がざるをえなかった。
ただ、この段階で全国レベルを体感できたのは湯浅と明生光学園、しいては徳島県高校野球にとってプラスになれど、マイナスになることは何もない。
「体重や筋力などを鍛えて、もう一段階上の打てる打者になりたい」と誓った4番・湯浅。「この景色を覚えておいて、春・夏に活かそう」と試合終盤に言い続けた河野 雅矢監督率いる生光学園はもちろんのこと。「財政的に厳しい中にあっても、県代表の強化につながる方法を考えていかないと。ですので来年以降は3月開催の中四国代表センバツ出場校・阿南市合宿中の練習試合(2018年は3月10日(土)・11日(日)予定)の対戦相手は、原則的に徳島県秋季大会ベスト4が務めることになっています」と、徳島県高等学校野球連盟・須崎 一幸理事長も明言した地道な取り組みの連鎖が、この冬は特に重要だ。
そして、その積み重ねの速度を徐々に速めていけば……。2014年の鳴門以来遠ざかっているセンバツ代表校輩出。その先にある2003年春の徳島商以来ない甲子園ベスト4以上は、決して達成できない目標ではない。
(レポート=寺下 友徳)
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