東海大市原望洋vs山梨学院
金久保優斗、粘りの投球で関東ベスト4!
金久保優斗(東海大市原望洋)
必死の勝利だ。最速146キロ右腕・金久保優斗。2017年度の高校生右腕を代表する右腕だが、強打で積極的に振ってくる山梨学院打線に苦しんだ。夏と比べるとテークバックをコンパクトにして、体の中心で腕を振るフォームに変更している。またこのフォームになじんだとはいいがたく、135キロ前後で、まだ打者を圧倒するようなキレではない。そのため山梨学院の各打者がスコンスコン振り抜く。鋭い打球が内野手の間を抜けていって、常に走者を背負う展開となった。
だが金久保は、強気に腕を振って勝負するシンプルな投球内容。要所で勢いあるストレートがコーナーへ決まり、さらにスライダーを駆使して、どうにか山梨学院打線を抑える投球内容であった。2回裏に犠飛で1点先制を許したが、3回表、女房役の宍倉貫太の適時打で同点に追いつくと、5回表には山梨学院の2番手・栗尾勇摩を攻め立て、金久保が勝ち越しの適時打を放ち、さらには併殺崩れで1点を追加し、3対1。この2点は粘り強く投げる金久保に大きな力となった。
そして8回表には二死満塁のチャンスから金久保が2点適時打を放ち、5対1と点差を広げる。金久保は2安打3打点の活躍。山梨学院が誇る3本柱・宮内大河、栗尾勇摩、吉松塁の3人から得点を奪ったことは大きな意味があった。
9回裏、金久保は一死満塁のピンチを迎え、内野ゴロで1点を失ったが、最後は何とか逃げ切りに成功し、ベスト4進出を決めた。
夏では140キロ中盤の速球を計測していた金久保。その後、調子を崩してしまい、制球を乱してしまうことが多かったようだ。まだ完璧に制球力が取り戻したとはいいがたいが、ここぞという場面ではきわどいコースへ140キロ前後のストレートがいくのはさすがだ。
まだ高いレベルを望むとストレートのスピード、キレ、コマンド能力、変化球、体力的なモノ…など課題はあるが、ひとまず選抜へ前進するベスト4が決定したことで、より意欲的に練習に取り組めると思う。
最後に東海大市原望洋の野球の質が変わってきている。東海大市原望洋といえば、パワーでモノを言わせるチームだったが、エンドランを仕掛けたり、盗塁を仕掛けたり、随分と走塁技術が向上したように感じられる。昨年のような長打を打てる選手がそれほどいないということもあり、それをカバーするために走塁を磨いているのだろう。
これまでない東海大市原望洋の姿を見せていて、この野球がうまく根付いていくのか、注目をしていきたい。
(文=河嶋宗一)
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