日大三vs都立東大和南
日大三、井上の2打席連続を含む本塁打4本で圧勝
1番・井上 大成(日大三)
都立東大和南が、格上の日大三に挑んだ一戦。試合前、両チームが本塁前で整列すると、両者の体格の差は明らかであった。
都立東大和南は、日大三に左打者が多いことを意識してか、背番号9の左腕・福島 涼太が先発。身長162センチで、球威はさほどない分、緩い球で、丁寧な投球を心掛ける。こうした投手は、はまると威力を発揮するが、日大三に通用するのは、容易ではない。
1回裏日大三は1番井上 大成が四球で出塁し、2番大西 翔の犠打が敵失を誘い、井上は三塁へ。5番比留間 海斗の右犠飛で1点を先取する。
2回裏は先発投手でもある8番田口 仁平の内野安打、9番津原 瑠斗の左前安打に続き、1番井上は、ライトにあるスコアボードの上を超える、特大の3ランを放つ。「ベルト付近のストレート。甘い球を狙っていました」と井上は言う。
しかしその後、三者連続四球で二死満塁のチャンスが続くが、都立東大和南は追加点を許さない。
3回裏都立東大和南は投手を背番号1の山本竜太に交代。日大三は山本に対し、田口が二打席連続安打を放ち、前の打席で特大の本塁打を放った井上が、またも、スコアボードの横に飛び込むツーランを放ち、6対0とリードを広げる。
「前の打席でストレートを打ったので、今度は変化球が来ると思っていました」と井上。まさに読み勝ちの一発であった。
投げては、先発・田口が3回を奪三振6で、1人の走者も出さない完璧な投球。完全な楽勝ムードであったが、4回表、都立東大和南の1番濱中 達哉が左前安打で出塁すると、突如崩れ出し、二者連続四球で無死満塁。4番永井 徹は三振に仕留めたものの、5番小松優作に四球で押し出し。日大三は田口に代えて、急遽背番号1の岡部仁を投入した。それにしても、6点リードしているのだから、もう少し落ち着いて投げればいいものだが、この点について日大三の小倉 全由監督も、「3回までは良かったけど、ストライクが入らない。これでは使いづらい」と厳しい表情。
さらに代わった岡部も都立東大和南の6番中島滉介に初球いきなり死球。押し出しで、この回2点を献上した。
先発・福島 涼太(都立東大和南)
それでも日大三はその裏、比留間のツーランでまたしても2点追加。
5回裏にも、9番津原は、この試合チーム4本目となる本塁打を放つ。さらに2打席連続本塁打の井上が、中前安打で出塁。50メートルが6秒1の井上は二盗を決める。続く大西の内野安打、3番日置 航の三ゴロの間に生還。さらに4番櫻井 周斗の内野安打、5番比留間の二塁打と続き、この回3点目。さらには途中出場の溝口耕平の左前安打で1点を追加して、12―2。5回コールドが成立した。
スコアの上では大勝の日大三であるが、押し出しで2点を献上するなど、反省点の多い試合であった。期待の巨漢選手・金成 麗生もタイミングが合っておらず、途中で交代した。
「バットに当たらなくても、自分のスイングができていない。早稲田実業の清宮君なんかは、自分のスイングをしていますからね。もう少し落ち着いて打たないと」と小倉監督。これはチーム全体への苦言でもある。次は創価戦。これからは、待ったなしで厳しい戦いが続くことになる。日大三の真価が問われるのはこれからだ。日大三は近年甲子園から遠ざかっているだけに、「今回は絶対に行きたいです」と、2打席連続本塁打の井上は、力強く言った。
一方都立東大和南は、力の差がある中で、なかなか活路を見い出せなかった。しかし格上相手の大敗を仕方ないではなく、悔しさを感じることが、今後のチームの成長のカギとなる。
(文=大島裕史)
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