試合レポート

市立和歌山vs星稜

2016.08.10

市立和歌山が12年ぶりの初戦突破! 星稜を下す!

 市立和歌山は守備から攻撃を作っていく野球で、激しい打撃戦や緊迫した投手戦であった和歌山大会を勝ち抜きライバルである箕島との一戦にも勝利し、2年ぶり5回目の甲子園出場を果たした。対するは、2年ぶり18回目の甲子園出場を誇る名門・星稜。2年前の小松大谷との決勝大会が深く印象に残っているが、今年の春の大会も準決勝決勝と逆転勝利で北信越大会を制した。「逆転の星稜」と呼び声が高いが、今年は「圧倒の星稜」を目指し夏に臨んできた。

 お互い投打ともに安定しているが、こちらの試合も2試合目と同様に目まぐるしく動く試合展開となる。先制を挙げていくのは市立和歌山だが、先頭の山崎 拓哉がリードオフマンとしてレフト前に放ち、2番河﨑 真が送りバント、3番薮井 幹大、4番北嶋 陸が出塁し5番木下 康司が犠牲フライで1点を先制していく。しかしこの回は1アウト満塁のチャンスを「シン・ゴジラ」こと2年生寺西 建が191㎝という大きい体から繰り出される左腕で市立和歌山を1点に止めた。

 その裏に星稜は2番畑中 陸がスリーベース、3番で主将の虎谷 貴哉はセンター前へのタイムリーを放ち2人で点を取り、すぐさま市立和歌山に追いつく。しかし、2回表に点差を広げられないよう守っていきたいところではあったが角度と勢いのあるボールを投げ込んでいく寺下がいまいちピリッとせず、星稜は得意の継投に早くも出ていき、寺下をライトに送り背番号17の1年生竹谷 理央を2回途中からマウンドに上げる。

 一死一塁というピンチでマウンドにあがったが、竹谷は1年生らしいフレッシュなピッチングで市立和歌山に立ち向かっていった。根性というか度胸というかそういった言葉がよく当てはまるようなピッチングで、マウンドに上がった回は3点を奪われるものの、3回から6回まで市立和歌山打線を1安打に抑えていく。試合がずるずると市立和歌山に向いていたが、竹谷のピッチングで試合展開はどっちに転ぶか分からないものになっていく。

 2回に1点を取り返し、4対2で中盤を迎えていく星稜だが、ヒットでランナーを出していくものの、後続が続かない。市立和歌山のエース赤羽 陸の前にチャンスを広げていくことができず、6点差で迎えた最終回。星稜の逆転劇に期待していたが、ランナーすら出すことができず、負けを喫した。終わってみると大会記録にもあたる5併殺打。11安打を放って2得点、失策は1。対した市立和歌山は12安打で8得点、失策は3。この結果だけ見ると、星稜は勝ってもおかしくない試合内容であった。

 しかし、市立和歌山は犠打を5回成功させているのに対して、星稜は犠打は0。ランナーが出たら得点圏に進める野球をした市立和歌山が試合を制することとなった。得点圏にランナーを置き、守っている野手たちにプレッシャーをかけていく。当たり前の野球であるが、この試合ではここの差が勝利と敗北を分ける境界線になってしまった。

 星稜は18人中8人が1、2年生という若いチームでここまで勝ち上がってきたが、これから始まっていく秋、春そして夏と、投手陣では寺下や竹谷など、野手では木倉 朋期川岸 正興を中心として「圧倒の星稜」でまたこの甲子園に戻ってきてくれることを期待して待っておきたい。

 勝利をした市立和歌山だが、守りはトップクラスの鉄壁さを感じた。守備からのリズムを攻撃に繋げていく自分達の野球で12年ぶりの初戦突破を達成したが、戦いはまだ終わりではない。この先も自分達の野球を貫いていき、快挙を達成いくことを注目して見ていきたい。

(文=編集部)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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