試合レポート

上田西vs宮崎日大

2015.08.06

初回の速攻と2年生エースの好投で上田西が甲子園初勝利

 どちらが勝っても甲子園初勝利となる一戦は初回に鮮やかな速攻で上田西が先制点を挙げた。

 1番・河野 誠也(3年)がファーストストライクを打ってヒットで出塁すると、2番・斎藤 尊志(2年)が1球で送りバントを成功させる。ランナーを得点圏に進め攻めの形を作ると3番・三井 崇平(3年)も初球攻撃。ライト前ヒットを放ちチャンス拡大。わずか4球で一死一、三塁と絶好の先制機を作ると4番・大藪 将也(3年)はしっかりと見極め一塁に歩く。5番・松本 大亮(2年)が打席に入ると大藪の時はセカンドゲッツーを狙う守備隊形だった内野手が前進。

 宮崎日大バッテリーは2ボール1ストライクからウエストしスクイズを警戒するが、この1球でもうボール球を投げられなくなりストレート1本に張れるカウントになると松本はインコースのストレートを強く叩く。
打球は前めに守っていたサード・大藪の頭をワンバウンドで越えレフト前に転がる2点タイムリー。ウエストにしても守備隊形にしても結果的には1点を防ごうとして2点を失った宮崎日大はここで早くも継投に出る。

 ファーストを守っていた黒木 隆司(3年)がマウンドに上がり、先発を任された背番号1の杉尾 剛史(3年)がファーストにまわる。一死一、二塁という厳しい場面を黒木が抑え、反撃に転じたいところだったが宮崎日大打線の前に上田西の2年生エース・草海 光貴(2年)が大きく立ちはだかった。

 草海はテンポのいい右のオーバースローで140km/h台のストレートをきっちり内外に投げ分け、ウイニングショットにはキレのいいスライダーも使う。丁寧に低めを突く投球が光り5回までわずか1安打、二塁すら踏ませない。
しかも、安定感あるピッチングのみならずフィールディングからも高い野球センスを感じさせた。2回に奪ったアウトはファーストゴロ2つとショートゴロ。ファーストゴロは強い当たりで一旦ファーストの三井が弾くが、投げ終わりから一塁方向に走り出すまでが速い草海のベースカバーもありクロスプレーにすらならずにアウト。


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

「右方向に打球が飛んだら必ずベースカバーに走れ」投手なら何度も言われている基本事項だが常日頃から意識していないとここまで体に染み込ませることは出来ない。4回には宮崎日大のキャプテン・吉野 祥平(3年)がセーフティバントをサード側に転がすが草海は逆シングルでの捕球で素早く処理。
続く3番・益留 凡侑(3年)のピッチャー返しの打球もグローブで弾くと三塁側に転がった打球を拾い体を素早く反転させて正確な送球で刺す。打ってもクセのないコンパクトなスイングで複数安打。2本目のヒットは6回の先頭打者として放ったもので、中盤に挙げた貴重な追加点の起点となった。

 6回を終わって3-0で上田西がリード。
投げて守って打ってと活躍する2年生エースを捉えられずにいた宮崎日大は7回に益留、4番・溝上 憲伸(2年)の連打でチャンスを作り、守備でも8回一死三塁からのセーフティスクイズを黒木がグラブトスで防ぎ、長野大会6試合で9盗塁を決めた俊足の斎藤を強肩の薗田 篤公(3年)が刺すなど好プレーもあったが完全に流れを引き寄せるまでには至らず。

 宮崎日大はファーストとピッチャーの入れ替えで何度も杉尾と黒木を交互にマウンドに送る継投が功を奏し粘り強く守っていたが、攻撃面では後半になっても一死からでもバントを多用する攻めが機能せず得点には結びつかなかった。

 4球で作った絶好の先制機をものにし、初回に挙げた得点をエースが好投で守り切った上田西、この日は発揮出来なかったが長野大会6試合で28盗塁を決めた機動力も持ち味。次戦では隙あらば走る野球で上位進出を狙う。

(文=小中 翔太


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.12

【春季新潟県大会】プロ注目右腕・茨木佑太が完封!元プロの芝草監督は素材、メンタル面も絶賛!

2024.05.12

【春季京都大会】センバツベンチ外の西村がサヨナラ打!新戦力の台頭目立つ京都外大西が4強進出

2024.05.12

プロ注目の200cm右腕・菊地ハルン(千葉学芸)がセンバツ出場校との交流戦でまさかの7失点…夏までの課題は?

2024.05.12

【和歌山】智辯和歌山が和歌山東を破って2年ぶり優勝、中西が1失点完投<春季大会>

2024.05.12

【奈良】天理が決勝最多18得点で圧勝!13年ぶりに春の頂点に<春季大会>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>