松山東vs二松学舎大附
スクイズ失敗後の2点タイムリー二塁打!
「勝ったんだなという実感がこみ上げてきています」。
9回8安打4失点、136球で完投した松山東エース・亀岡優樹(3年)の第一声だ。
アルプス席は通常、前の試合の7回から次の試合の入場を始めるが、この日の松山東応援団があまりにも多かったため、異例となる5回からの入場となった。
それだけの大応援団に後押しされた松山東ナインは、昨夏の甲子園メンバーが多く残る二松学舎大附を相手に怯むことなく、1点差で勝利を掴み取った。
松山東の勝利に繋がったポイントは、6回表に無死一、三塁から亀岡が2点タイムリー二塁打を放った場面。
亀岡が打ったのは4球目だったが、実はその前の2球目に堀内準一監督はスクイズのサインを出していた。ところが二松学舎大附の左腕・大江竜聖(2年)が投じたスライダーは、右打者である亀岡の足元にくる。バットを出してファウルにするのが精いっぱいだった。
「秋の県大会などでも取れると思った時にはスクイズというスタンスでやってきた。失敗するとその後はアウトになるパターンが多い」と堀内監督はスクイズを決めたかった心境を話す。
しかし追い込まれた状況で亀岡は4球目の変化球をフルスイング。レフトの頭上を越え、欲しかった1点だけはなく、2点がエースのバットによってもたらされた。
結果的にその裏、同点に追いつかれることになるのだが、7回にまたも勝ち越してこれが決勝点となった。
さてスクイズ失敗の場面だが、大江が投じた球は亀岡の足元に来ていたため、打つ気持ちで向かってしまうと、足首付近に当たってケガをしかねない可能性があった。スクイズのサインが出ていたことが、亀岡のケガ防止と打ち直しの一打に繋がった。まさに幸運だったと言えるだろう。
もう一つこの試合で面白いのが、亀岡が点を取られた4回と6回の2イニング。共に直前の攻撃で自らが出塁した状況で終わっていた。二松学舎大附の大江が7回に奪われた決勝点も、6回裏の攻撃を塁上で終えた直後である。ピッチャーに『ホームに還れなかった』という見えない心理変化があったのかもしれない。
ピッチャーが出塁した時、味方打線はできればベンチへ戻す状況の攻撃をしてあげて、次の守りに備えたいものである。