近江vs九産大九州
捕手デビュー戦で見事完封!
「やっぱり小川は頼りになるなと思いました。小川に尽きますね」。
試合を終えた近江・多賀章仁監督は、夏の甲子園に続いて初戦を完封したエース・小川良憲(3年)のピッチングを絶賛した。
4安打3奪三振3与四死球。球数115というのがこの日の小川の内容。初回に相手のミスで先制し、5回には仲矢惇平主将(3年)のタイムリーで2点目。相手エース・岩田将貴(2年)の左サイドスローからのピッチングに苦しんだが、小川にとってはこの2点があれば十分だった。
そして、完封の要因の一つに、公式戦で初めてマスクをかぶった仲矢の存在がある。昨夏はセカンドで甲子園出場。しかし3回戦の聖光学院戦で守備のミスをしてしまい、「誰よりも泣いていた」(多賀監督)のが仲矢だった。その後、多賀監督からキャッチャー転向の話を本格的にされたが、準備期間が短かったこともあり、秋はショートを守った。キャッチャーになったのは、近畿大会で敗れた後の11月以降のことである。
小学校5年生以来のキャッチャーになった仲矢は、リード面などさまざまなことを勉強中だ。冬場の紅白戦や、春の練習試合で少しずつ経験値を増やしていったが、公式戦で初めてともなれば、不安な部分が出てもおかしくない。しかも甲子園だ。
この日の仲矢は。パスボールとワイルドピッチで1回ずつ後ろに逸らしてしまったが、焦ることなく小川の球を受け続けた。小川の新球でもあるシンカーや、武器のスライダーも有効に使った。
そんな仲矢に、『今日一番良かったリードは?』という質問が飛んだ。即座に答えたのが、9回表の九産大九州の先頭打者であった4番・片倉瑛紀(3年)への1球目だ。「振ってくると思ったので、真っ直ぐではなく初球にシンカーを選びました」。
狙い通り初球に手を出した片倉はピッチャーゴロに終わった。
甲子園2回目の完封となったエース・小川と、初めて完封を演出した“キャッチャー”の仲矢。これから二人の呼吸はさらに良くなっていくだろう。