試合レポート

常総学院vs土浦湖北

2014.10.07

常総学院が関東大会出場!8回の集中打で土浦湖北に勝利!

常総学院vs土浦湖北 | 高校野球ドットコム

土浦湖北エース・大関友久

 関東大会がかかった大一番、秋季茨城県大会準決勝の第1試合は、第1シード・常総学院と、ノーシードの公立・土浦湖北との対戦となった。

 土浦湖北は、8月に行われた県南選抜大会(新人戦)では、初戦で江戸川学園取手に対し、タイブレークの末に5対4で敗れてしまったが、そこからエース左腕・大関友久(2年、常総ドリームボーイズ)と右腕・関口海渡(2年、谷田部中)を中心として、チームの建て直しに成功した。

 準々決勝では第4シード・水城を相手に、初回に3点を奪い試合の主導権を握った。終盤1点差に迫られたが、最後は4対3で勝利し、2年連続の秋4強入りを果たした。

 昨秋からエースを務めている左腕・大関友は、今秋・今夏と連戦による疲労がたたって、最後は思うような投球ができずに終わった。しかし、今大会は大関友-関口の継投パターンを確立し、これが絶大な効果を発揮している。後ろには快速右腕・関口が控えるためスタミナの心配を払拭でき、初回からビュンビュン飛ばしていける。
土浦湖北は地区予選からの4試合全てを、大関友と関口の継投パターンで勝利している。

 一方、第1シード・常総学院は、中学時代15U侍ジャパンで台湾戦に先発した鈴木昭汰(1年、土浦霞ヶ浦ボーイズ)が背番号1となった。チームとして、ここまでの2試合で失点は1。初戦の2回戦では、水戸葵陵の好投手・海野貴嗣を攻略。石井大貴(2年、千代川中、オール茨城)の満塁ホームランも飛び出し、7対0と大勝した。

 しかし、準々決勝では、藤代に苦戦を強いられた。先発した樫村雄大(1年、水戸シニア)は7・1/3回を無失点で切り抜けたが、後を任されたエース・鈴木が9回に1点差に詰め寄られ、最後はなんとか2対1で逃げ切るという展開だった。

 お互いに1点差ゲームをものにしての準決勝は、両エース左腕が先発マウンドに上がった。


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常総学院エース・鈴木昭汰

 1回表、土浦湖北常総学院エース・鈴木の立ち上がりを攻める。
一死から2番・横田廉太朗(2年、竹来中)がライト前ヒットで出塁すると、3番・塙雄輝(2年、土浦霞ヶ浦ボーイズ)のファーストゴロを一塁手・石井が後逸して一死一、二塁。4番・関口はショートゴロとなり二塁封殺で、二死一、三塁のチャンスを迎える。ここで、5番・大関将哉(2年、水戸シニア)はカウント3-1から真ん中高めのストレートをレフト前に運び1点を先制する。
土浦湖北1対0常総学院

 先制を許した常総学院は1回裏、先頭の1番・宇草孔基(2年、墨田シニア)が死球で出塁すると、2番・千本松貴樹(2年、波崎ボーイズ)が送り、3番・荒原祐貴(2年、波崎ボーイズ)のファーストゴロで二死三塁とする。しかし、4番・清水風馬(1年、志村球友会)はセンターフライに倒れる。

 3回裏、常総学院は先頭の9番・高瀬将太郎(2年、水戸シニア)が四球で出塁すると、1番・宇草がライト前ヒットで無死一、二塁。2番・千本松が送って一死二、三塁のチャンスを迎える。ここで3番・荒原はカウント2-2からスクイズを仕掛ける。しかし、アウトコースのストレートを空振り三振。三走・高瀬も挟殺でタッチアウトとなり、チャンスを潰してしまう。

 4回表、土浦湖北は一死から5番・大関将が振り逃げで出塁すると、7番・五味剛(2年、並木中)がセンター前ヒット。8番・海老澤由隆(2年、府中中)がライト前ヒットで繋ぎ二死満塁とする。しかし、9番・松延拓輝(1年、かすみがうら北中)はピッチャーゴロに倒れ追加点は奪えない。

 6回裏、常総学院は一死から2番・千本松がレフト線二塁打で出塁すると、ワイルドピッチで三進し一死三塁。同点のチャンスを迎える。しかし、3番・荒原はピッチャーゴロでランナーは動けず二死。4番・清水は四球で二死一、三塁とするが、続く5番・石井がレフト前に放ったヒット性の当たりは、レフト・横田の前方へのダイビングキャッチに阻まれ、またしてもチャンスはついえる。


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常総学院2番手・樫村雄大

 7回表、ピンチを凌いだ土浦湖北に今度はチャンスが訪れる。先頭の8番・海老澤がセンター前ヒットで出塁すると、9番・松延は死球。1番・斎藤飛翔(2年、かすみがうら北中)が送って一死二、三塁とする。ここで先ほど攻守を見せた2番・横田がライトへの犠牲フライを放ち、土浦湖北が1点を追加する。
土浦湖北2対0常総学院

 7回裏、常総学院は二死からチャンスを作る。8番代打・大谷弘平(2年、川崎中央シニア)がセンター前ヒットで出塁すると、代走・竹内が二盗。9番・高瀬がフルカウントから四球を選んだときに、三盗に成功し、二死一、三塁とする。

 土浦湖北はここで得意の継投策に出る。サードの守備に就いていた関口をマウンドへ送り、ピッチャー・大関友はライトへ。サードへは新たに鈴木雄大(2年、美野里中)が入る。

 好打者の1番・宇草を迎えたところで、一走・高瀬は2球目に盗塁を仕掛けるが、一塁・二塁間で挟まれる。三走・竹内が本塁突入のタイミングを図っているうちに、一走・高瀬は一塁上でタッチアウトとなり、再三のチャンスに得点が奪えない。常総学院らしくない拙攻続きに、ネット裏のファンからはため息が漏れる。

 8回表、常総学院は2番手に右腕・樫村雄大をマウンドへ送り、3者凡退に抑える。


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常総学院・石井大貴

 8回裏、常総学院打線がようやく繋がりを見せる。先頭の1番・宇草が左中間を真っ二つに割ると、快速を飛ばして一気に三塁を落とし入れる。続く2番代打・箭内幹太郎(2年、真駒内シニア)は初球を躊躇なく強振してセンター前ヒットで1点を返す。

 さらに、続く3番・荒原は四球で無死一、二塁とし、この日ここまで当たりのない4番・清水は送りバントを命じられるが、初球をファール。カウント1-2と追い込まれてからスリーバントを試みるが失敗に終わり、上げ潮ムードを断ち切ってしまう。

 しかし、常総学院はこのままでは終わらない。一死一、二塁とし、続く5番・石井は、試合序盤の守備のミスを帳消しにする右中間への起死回生2点適時二塁打を放ち、逆転に成功する。
土浦湖北2対3常総学院

 9回表、常総学院は3人目の右腕・菅原一泰(2年、世田谷サムライボーイズ)をマウンドへ送る。
1点を勝ち越されてしまった土浦湖北は、9回表、先頭の7番代打・岡田光平(2年、龍ケ崎愛宕中)が四球で出塁すると、代走に内田遥(2年、小川南中)が送られる。

 続く8番・海老澤に対して1ボールが投じられた後、常総学院ベンチは菅原に代えて、4番手にファーストの守備に就いていた石井をマウンドへ送る。ファーストには新たに星駿斗(2年、北茨城常北中、オール茨城)が守備に就く。

 しかし、海老澤も四球を選び、土浦湖北は無死一、二塁のチャンスを迎える。続く9番・松延のピッチャーゴロは三塁封殺となり、一死一、二塁。1番・斎藤はファーストゴロで二死二、三塁と、一打逆転のチャンスを作る。しかし、2番・横田は見逃し三振に倒れ試合終了。

 第1シード・常総学院が、終盤の猛攻で一気に逆転し、土浦湖北に勝利。関東大会進出を決めた。


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常総学院石井の気迫溢れる投球

 土浦湖北は昨秋の3位決定戦での敗戦に続き、またしても後一歩のところで関東大会出場を逃してしまった。
先発の大関友久は、6・2/3回を投げ散発4安打、無失点で切り抜けた。地区予選から続く磐石のリレーで後を任された関口海渡は、8回に3長短打と1四球。自慢の速球を常総学院打線に捉えられ、一気に逆転されてしまった。

 土浦湖北は敗れはしたが、エース・大関が常総学院打線を無失点に抑えたことは大きな収穫でもあった。常総学院にとっても、大関友を攻略できなかったことは来春以降の課題となるはずだ。

 一方、常総学院は決定打に欠き、自らのスクイズ失敗、送りバント失敗、走塁ミスで劣勢に立たされながらも、最後は1年生からレギュラーを務める石井大貴が、勝利を呼び込む逆転打を放った。また、7回と8回に佐々木監督から送られた、2人の代打策が見事に的中し、2人とも安打を放って停滞していた流れを自陣に呼び寄せたのは見事だった。

 次戦・決勝では、今春順々決勝以来の顔合わせとなる明秀学園日立が待ち受ける。明秀学園日立の足を使った攻撃を常総学院がどう封じ込めるかに注目したい。

(文=伊達 康

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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