大島vs樟南
「攻めの姿勢」貫く・大島
勝利を掴み雄叫びをあげる福永(大島)
鹿児島大島14安打、樟南15安打、両チーム合わせて29安打の打撃戦は鹿児島大島に軍配が上がった。
初回に4番・小野浩之介(2年)、5番・泊慶悟(2年)、7番・川畑雅樹(2年)のタイムリーで3点を先取。4回二死満塁から泊がライト前に2点適時打を放つなど、好機を着実にものにして樟南を突き放した。8回に2番手・前山優樹(1年)がつかまって1点差まで詰め寄られるも、8回途中から再びマウンドに戻ったエース福永翔(2年)が9回を三者凡退で打ち取り、熱戦にケリをつけた。
強豪・樟南を相手に鹿児島大島は「攻めの姿勢」(渡邉恵尋監督)を貫いた。渡邉監督は「先輩たちから築いてきたものが礎になっている。『心のスタミナ』がついてきた」ことが実感できた一戦を振り返った。
攻守のすべてがかみ合った「ベンチも含めてみんなで勝ち取った勝利」(エース福永)だ。塁に出た走者を、着実に送り、タイムリーで返す。初回からつながりのある攻撃ができた。樟南が繰り出した4投手陣から14安打を放った。
5安打3打点の活躍だった5番・泊は「最高の準備が最高の結果を生むと信じて、野球だけじゃなく日頃の生活面から準備を怠らず、いつも通りのプレーができた」と胸を張る。
終盤、樟南も強豪校のプライドをかけ、総力戦で牙をむく。8回、5点あった点差がみるみる縮まり、1点差まで詰め寄られた。「地力のある相手に追い上げられるのは本当にきつい」(渡邉監督)展開だったが、鹿児島大島ナインはひるまない。昨秋の1年生大会で同じような打撃戦で打ち負けた苦い経験があった。あの時「仕留める力、勝ち切るための集中力」(渡邉監督)が必要なことを学んだからだ。
9回は鹿児島大島の「攻めの姿勢」のシンボルのようなエース福永が、オール直球勝負で三者凡退に打ち取った。「何物にも代えがたい特別な相手」を力でねじ伏せた喜びで何度もこぶしを握り雄叫びをあげた。「正直、冷や冷やしました」と苦笑する重原龍成主将(2年)だったが「今までいろんな悔しい思いをしてきたので、日頃の練習から集中力を高めて、先を見ずに目の前の一戦一戦に集中できた」ことを確信していた。
(文=政 純一郎)