試合レポート

聖心ウルスラvs宮崎南

2013.07.17

延長13回の死闘を制したのは聖心ウルスラ学園

 宮崎南の初戦は、第5シード都城東に4対3。
聖心ウルスラ学園の初戦は、第4シード宮崎日大に4対3。
接戦の末、シード校を破って宮崎大会に波乱を起こす快進撃で8強入りした両校同士の戦いは、熱闘・激闘という域を超えて「死闘」になった。

宮崎南は右腕吉永、聖心ウルスラは左腕浜渦が先発。
両エースは、ここまでの死闘が待っているとは予想も出来なかったことだろう。

試合が動いたのは2回裏。
聖心ウルスラの9番エース浜渦が二死一二塁から右前適時打を放ち、自ら援護した。
しかし、その直後の3回表。
宮崎南は二死一塁から、4番岡本が左中間を破る適時三塁打で1対1に追いつく。
続く5番大坪が左中間へ放った鋭い飛球で2対1になるかと思われたが、聖心ウルスラの左翼飯干が、白球が外野天然芝に落ちるかどうかギリギリのところでダイビングキャッチした。超ファインプレーで逆転を許さなかった。

その後、聖心ウルスラの浜渦は5・6・8回を、宮崎南の吉永は5・6・7回を三者凡退のパーフェクトに抑えるなど、両エースが失点を許さない意地の投手戦となり0行進。

だが、8回裏。ついに、聖心ウルスラに勝ち越し点が入るか?という打球が飛んだ。
二死二塁から3番高橋がライトへ放ったライナー性の鋭い打球。完全に抜けるかと思われたが、この打球の先にいたのは宮崎南の大坪だった。大坪が瞬時に打球を追いかけダイビングキャッチ。3回にタイムリーヒットになるかと思われた自分の打球を相手外野手に捕られたお返しと言わんばかりの超ファインプレーでチームを救った。
宮崎南大坪は、初戦となる2回戦で神がかり的な9回表逆転本塁打、3回戦でも勝利を引き寄せる本塁打を放った英雄。高校通算22本塁打、もってる男大坪が今日は守備で球場を沸かせてくれた。

そのまま試合は9回で決着がつかず、延長戦に。


 延長に入って、両校に得点チャンスとサヨナラのチャンスは幾度かあったが、両エースが回と投球数を重ねても粘りの投球を続けると、バックも堅い守りで応えてピンチをしのいだ。

ここまでの好ゲームに果たして決着がつくのかと思われたが、この死闘の結末は、思いがけないかたちでやってきた。

13回裏、聖心ウルスラの攻撃。
二死無塁から2番吉永が放った打球は、左中間のど真ん中へ。
宮崎南の中堅松田が必死のダイビングキャッチを試みるも届かず、打球は無常にも外野フェンスまで転がった。
カバーにいった宮崎南左翼岩切が白球に追いつき中継に繋ぐ。
その間、打者走者の吉永はダイヤモンドを駆け抜け、三塁を回って一気に本塁を狙った。
送球が本塁にもどってきたが、間に合わなかった。

サヨナラランニングホームラン。

2時間43分にわたる息詰る死闘を聖心ウルスラが制して4強入りした。

聖心ウルスラの応援スタンドに掲げられている横断幕には「忍耐即一発」の文字。
まさに今日の一戦は、「忍耐即一発」スピリッツで掴んだ大きな一勝だった。
準決勝は、同じくノーシードからシード校を破り勝ち上がってきた宮崎商業と対戦する。

一方、敗れはしたが敗戦とは言えない宮崎南ナインの戦いぶり。
同じく応援スタンドに掲げられている横断幕には、「翔べ鵬 吹け南風」の文字。
今大会ノーシードから猛威を振るい、ハツラツとして爽やかな南風旋風を起こしてくれた。

(文=三角 竜之)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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