美里vs興南
4番とエースの活躍で美里が興南を圧倒!16年振りのベスト8進出!
美里は初回、池宮城広也のツーベースを足掛かりに、四球とエラーで一死満塁のチャンス。ここで一塁走者がスタート。興南先発の左腕栄野川盛隆は当然牽制するが、挟殺される間に三塁走者が生還。興南内野陣の一瞬の隙をついた好走塁であったが、どうしても一つ上のレベルを求められる立場の興南としては、三塁走者に簡単に走られたのはベンチとしては歯がゆかったのかもしれない。
さらに美里は4回、先頭の比嘉健汰が内角ストレートを待ってましたとばかりに豪快にフルスイング。強風荒れるスタジアムの中を突き破るように打球は一直線にライトスタンドへ。秋の県大会で2本の本塁打をマークしたスラッガーの一発で盛り上がる美里。
エラーのあと、一死二塁としたところで興南ベンチが栄野川を諦める。少しの静寂のあと、ダッグアウトから背番号1が勢いよく駆け出しマウンドへ。興南としては数々の修羅場をくぐり抜けてきたエースで、このピンチを脱して流れを変えたいところだ。しかし屋宜大輝に一・二塁間をしぶとく破られ追加点を許してしまった。
春、肩に違和感を覚えた花城凪都。状態はかつての投球からすると、生命線であるはずの制球力にブレがあった。
そして決定的とも言える7回、美里はヒットと犠打で得点圏に進めると、池宮城の打球はレフトへ。花城の感覚は打ち取った、だったろう。しかしこの日の風が美里へ味方する。前進したレフトの前に、逆風で戻され落ちたタイムリー!さらに山入端信人が決定的ともいえるライト前へのタイムリーでこの回3点を加えた。
4回に1点を返した興南は7回、死球とヒットで無死一・二塁。ここで我喜屋優監督は犠打を選択。5点差ある終盤だが、1、2回戦で打率4割超えの打線ならここで2点返せれば追い付けるとの判断でもあったろう。
事実、昨年の夏の浦添商戦でも犠打で進めて後、8、9回で見事追い付いた経緯がある。そして今日のその采配が的中する。打て!のサインをもらった大城博慈がライト前へ運び三塁走者が生還。なお一死一・三塁のチャンスを作った。
ここで興南は、一塁走者が挟まれる間に三塁走者がホームを狙うも、美里内野陣は落ちついていた。三塁走者を挟殺するのに成功し、結果としてピンチを最小限で切り抜けたのだった。これが試合の別れ目だった。
8回にも1点を追加した興南だったが、最終回に3点差をひっくり返すことは叶わなかった。
2010年、史上6校目の甲子園春夏連覇を達成した、島袋洋奨や我如古盛次ら沖縄県史上最強のメンバーに憧れて興南高校野球部へ入ってきた彼らの目標だった聖地への道は、惜しくもここで閉ざされた。
だが肩の痛みで出場出来なかった正捕手の具志堅大誉や、先述したエース花城など、主力が満身創痍だったことを考慮すれば、第一シードの北山を倒し勢いに乗る美里を相手に、現有戦力で限りを尽くしたのではないだろうか。
(文=當山雅通)
美里 | TEAM | 興南 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
三塁 | 木村拓也 | 1番 | 左翼 | 大田隆博 |
遊撃 | 池宮城広也 | 2番 | 二塁 | 徳元佐亮 |
中堅 | 吉浜清亮 | 3番 | 中堅 | 下里駿介 |
捕手 | 比嘉健汰 | 4番 | 右翼 | 仲宗根聖人 |
右翼 | 山入端信人 | 5番 | 一塁 | 宮城 洸 |
左翼 | 伊波雅司 | 6番 | 三塁 | 座光樹 |
一塁 | 屋宜大輝 | 7番 | 遊撃 | 大城博慈 |
投手 | 諸見里俊汰 | 8番 | 捕手 | 福地正悠 |
二塁 | 名嘉真辰也 | 9番 | 投手 | 栄野川盛隆 |