生光学園vs池田
徳田誉顕(生光学園)
延長14回激闘で生光学園・池田が得た「収穫」
連日熱戦・激闘が続く第85回記念選抜高等学校野球大会、いわゆる「センバツ」。3月31日・そんな[stadium]阪神甲子園球場[/stadium]から明石海峡を渡り、淡路島を超え、鳴門海峡を渡った先にある[stadium]オロナミンC球場[/stadium]でも、熱戦・激闘が繰り広げられていた。
徳島県春季高等学校野球大会準決勝。第1試合・徳島商業対川島における延長12回に続き、この第2試合は延長14回。四国大会出場をかけた昨秋3位決定戦以来の対戦となった徳島池田対生光学園の一戦は、その試合で9与四死球11失点の大乱調で8回途中KOされて以来、制球難の一因となっていた左足の踏み出し方をかえた生光学園右腕・徳田誉顕(3年)の粘り強い投球が光った。
ただ、徳島池田も50メートル走5秒8の快速右翼手・上徳拓馬(3年)を右足首骨折で欠きながらも敢闘。3回表・先発投手の9番・大内大知(3年)死球を受けた直後、果敢に二盗を決め、昨秋の2番から1番に上がった切中義人(3年)の適時打で先制。
さらに6回二死走者なしから3番・笠井竜太(3年・主将)、4番・岡本昌也(2年)、5番・川上佳祐(3年)の3連打で勝ち越した辺りは、昨秋四国大会2回戦で済美・安樂智大(2年)を苦しめた「スピード&集中力」が継続していることを示すものであろう。
ただ、この日の生光学園には常に攻める姿勢が備わっていた。先制されても4回裏には無死三塁から50メートル5秒7と驚異の俊足を持つ「色々なことができる4番」(山北栄治監督・談)・犬伏湧也(3年・主将)が同点適時打。再び1点ビハインドの7回にも一死二塁から8番・奥田シオン(3年)がすかさず適時打。「『やらされる』はやめよう」を合言葉に挑んできた冬練習は、昨秋なかった勝利への執念となって身に付いていた。
中村優太(3年)がサヨナラ生還
そして再試合も頭をかすめた14回裏。二死二塁から2番・片山裕登(2年)が「10回のサヨナラ機で凡打したので、取り返す気持ちで外の真っ直ぐを打った」打球は左翼手のグラブを弾き、生光学園はサヨナラ勝ちで6年ぶり7度目の春季徳島県大会決勝進出。「成長したなと思ってベンチで見ていました。昨年8回コールド負け(4対11)した徳島池田に勝てたのは大きい」山北監督の言葉以上に、3度目の同大会優勝、そして悲願の甲子園初出場へ推進力を与える1勝となった。
もちろん、徳島池田にもこの春、昨秋は尻すぼみに終わったエース・大内の復活、2年生右腕・渡邉剛志の球威向上、左腕・細田航南(2年)の台頭など投手陣を中心に収穫は多かった。それでも「今日はウチの完敗」と試合後の徳島池田・岡田康志監督。決して内容で劣っているとは思えない中で、あえてそんな言葉を口にした指揮官の真意を選手たちが汲み取れれば、夏は春とは異なる、全国の高校野球ファンが待ちわびる激闘の場所への道が開けてくる。
(文=寺下友徳)