池田vs生光学園
笠井竜太(池田・左翼手・2年)
「主将メール作戦」と「岡田マジック」で
池田、復活の息吹!
「大成功です」。
こう言って快心の笑みを見せたのは生光学園を8回コールドで破り、4年ぶり16度目の秋季四国大会出場を決めた徳島池田のキャプテン・笠井竜太(左翼手・2年)である。ただ「大成功」だったのは試合中の話ではない。徳島県のてっぺんを目指しながら1対8とコールド負けに終わった徳島商業との準決勝後に、彼が選手寮で考えた「作戦」のことである。
「僕は昨日も選手寮にいたんですけど、大会では普段寮にいる選手のほとんどは自宅から通うんです。だから、敗戦から切り替えるには『メールしかない』と思って、初めてエラーした奴や打てんかった奴にみんなメールをしたんです。一晩明けて切り替えられたことがよかったです」。
そのうちの1人が徳島商業戦で3打数無安打に終わった9番・山本駿(二塁手・2年)。「昨日負けたことは引きずってもしょうがない。勝ったら3位なので全力でこの試合をかけていた」彼が5回裏に先頭打者として右中間にランニングアーチを放ち、勝利を大きく徳島池田に引き寄せたのも、笠井のメール効果があったからに他ならない。
加えて百戦錬磨・岡田康志監督の「マジック」も彼らを後押しした。先発のエース・大内大知(2年)が3回で4四球と苦心しているのを見ると、4回からは「リズムを変えたかったし、(江原)中学時代は総体優勝で度胸があった」渡邉剛志を公式戦初登板のマウンドに抜擢。さらに6回からは「配球を変えないと打たれる」と捕手も土井隆之介(2年)に変え「公式戦初登板で嬉しかった」渡邉の躍動感を引き出すことで、5回1失点の好投に結びつけた。
「徳島池田はもう20年(1992年夏以来)甲子園に行っていないので、この代で甲子園に行きたいと思っています。四国大会では脚と打撃力を兼ね備えた新しい徳島池田の野球を見せたい」と笠井。上徳拓馬(右翼手・2年)、切中義人(遊撃手・2年)、笠井と俊足ぞろいの1番から3番を軸とした技術に、「一生懸命さがよく出ていた」と指揮官も評価する心も出し切ってつかんだ四国大会進出は、その目標達成へ、そして名門復活へ向かっても尊い息吹になりそうだ。
(文=寺下 友徳)