仙台育英vs県立岐阜商
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チーム10点目となる適時打を放ち「バーン」ポーズを出す柏木勇人(仙台育英)
仙台育英、のびのび「バーン」で国体初制覇!
「???これは『ガッツポーズ』なのか?」
初戦、宇部鴻城(山口)戦で殊勲打を放つたびに仙台育英の選手たちが繰り出すガッツポーズ。ただ、それは高校野球でお馴染みのガッツポーズではなかった。右手は上げても拳は握らず。まるでじゃんけんの「パー」をベンチにかざすがごとく、自然な感じで腕が上がる。
「これはどこかで見たことが。東北。仙台。あ、これ『Burn(バーン)!』じゃないの!!」
昨シーズン、東北楽天ゴールデンイーグルス・松井稼頭央選手が自身も在籍していたMLB時代のパフォーマンスをモチーフに始めた「エア・ハイタッチ」パフォーマンス。誰でもできる動きでグラウンド・ベンチ・観客が喜びを共有できることから、今では同チームの代名詞的存在となっている「あれ」である。
甲子園よりはるかに安定した精神状態で戦える国体だから取り入れられるパフォーマンスといえなくもないが、仙台育英にとってこの「バーン」効果は絶大であった。
宇部鴻城戦・2回戦・明徳義塾(高知)戦でいずれも9本と上々の安打数をマークした打線はこの日も好調を維持し、県立岐阜商業の6投手からなんと20安打11得点を奪取。ベンチからの「バーン!」の声に応え、ややはにかみながら手を上げる姿が各ベース上で見られた。
こうして東北勢では第58回大会(2003年)静岡国体での光星学院(青森)以来の2度目の国体優勝、そして仙台育英にとっては初の全国タイトルをもたらした彼ら。では、なぜこのパフォーマンスが突如なされるようになったのか?普段は三塁コーチャーとして、好機には代打・代走の切り札として起用される主将の小杉勇太(3年)に試合後、尋ねた。
「岐阜国体に来る前に1・2年生と2度紅白戦をしていく中で、やってみたら自分たちに合っていたので、『高校野球最後なので楽しむためにやってみよう』ということになりました。今回は2校だけど日本一になれて、先生(佐々木潤一朗監督)にいい思いをしてもらうことができてよかったです」。
今大会では初日に台風接近による暴風警報発令により、宇部鴻城戦が開始直前で延期になった際、「1300人の観衆が集まっていたので、何かやらないと」と思い、片手腕立て伏せや倒立からのヘッドスプリングを披露した稀代のパフォーマーならではの発想。これが仙台育英にさらなるリラックス効果を与えたのは間違いなさそうだ。