日大藤沢vs旭丘
勝つごとに深まる自信
ベンチ入り20名中、17名を起用した日大藤沢が18対1で快勝した。
3日前の武相戦では、相手エース・板野拓耶のストレートに押され、フライが目立っていた。この日を迎えるまで、バッティング練習に時間をあて、低いライナーを打つことをもう一度確認しあったという。
その結果、11安打18得点と打線が爆発。旭丘との力の差もあったが、4打数4安打8打点と当たりに当たった5番の阿部舟を中心に、きっちりと芯でとらえていた。
強豪私立の中には、得点差が開いても、送りバントを使ってくるチームがある。
トーナメントは1試合で終わりではなく、勝っても試合が続く。気持ちに緩みが出ないように、あえて、手堅い野球をやる。
この日の日大藤沢・山本秀明監督は送りバントを使わなかった。武相戦で崩れたバッティングをもとに戻すため、そしてヒットを打つことで気持ちよく次の試合に臨むため、バットを振ることを選んだ。
「このチームは、秋は1回戦、春は地区大会で負けて、何もないチームなんです。公式戦をまともにやっていない。だから、自分たちのプレーを思い切りやるしかない。ただ、その中でも、頭を少し使ってやってくれるともっといいのですけどね。そこが、いまの課題です」(山本監督)
山本監督が就任してから、「気迫」や「がむしゃらさ」が代名詞となった。常に大声と全力疾走。それが日大藤沢の野球だ。キビキビした動きに魅了されるファンも多い。
だが、それだけでは勝てないのは、監督も選手もわかっている。武相戦で見せた三塁インフィールドフライからのタッチアップは、まさに頭を使った野球といえる。
1番を打つキャプテンの伊藤修太はこう話す。
「練習試合では結果を残せているのに、大会で勝てなかったのがいまのチーム。夏は負けたら終わりなので、とにかく自信を持ってやろうと話しています」
チームのバックには、『自信』という言葉が刺繍されたお守りが見えた。ここまでくれば、自信につながるのは勝利のみ。ひとつ勝つごとに、「自分たちの野球」への手ごたえをつかんでいる。
(文=編集部)